非平衡界面ゆらぎの大偏差計測に向けた重点サンプリング法の実験実装と実現
【研究キーワード】
非平衡界面ゆらぎ / スケーリング則 / 大偏差 / 液晶 / KPZ普遍クラス / 非平衡ゆらぎ / 界面
【研究成果の概要】
本研究では、稀にしか起こらない大きなゆらぎ(大偏差)の統計法則の理解を目指し、厳密解研究が進むKardar-Parisi-Zhang (KPZ) 普遍クラスの非平衡界面を対象にして、大偏差の実験計測を試みることを主たる目的とする。
本年度の主たる目的は、KPZ大偏差を調べるためのアルゴリズム開発であった。先行研究で開発された大偏差計測手法である重点サンプリング法の一種を、界面の局所高さの大偏差が計測できるような形式で実装し、数値計算でその有効性を検証した。数値計算には、KPZクラスの厳密解が得られている可積分模型であるtotally asymmetric simple exclusion process (TASEP) を使い、大偏差の既知の性質、特にKPZ局所高さに特徴的なスケーリング則や厳密解の関数形がどの程度正確に再現するかを調べた。また、次年度以降の実験実装を念頭に、重点サンプリング法のパラメータに結果がどの程度影響されるかを調査した。
本年度はまた、次年度以降に液晶乱流実験系でリアルタイム画像解析を行うために使用を計画していたモジュール型計測器一式について、画像取得・解析方法の調査検討を開始した。
なお、KPZクラスの普遍法則はいくつかの普遍サブクラスに分類されるが、特に重要な3つのサブクラスのうち、定常界面のサブクラスは典型ゆらぎの性質も未だに確かな実験証拠の報告例がない状況であった。定常サブクラスは大偏差の研究にも重要なため、本年度は液晶乱流実験系における定常サブクラス検証にも取り組み、検証を完了させた。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2020-04-01 - 2024-03-31
【配分額】17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)