構造化固体群動態モデルの数学的理論とその応用に関する研究
【研究分野】数学一般(含確率論・統計数学)
【研究キーワード】
感染症 / 人口 / 基本再生産数 / 閾値現象 / 数理モデル / 年齢構造 / SIRモデル / 流行モデル / 感染症モデル / 安定人ロモデル / サバイバルモデル / 閾値定理 / 分岐 / HIV / AIDS / 構造化個体群モデル / AIDSの流行モデル / シャガス病 / 感染症流行モデル / テンポ調整出生率 / 後退分岐
【研究成果の概要】
本研究では年齢構造をもつ人口や生物個体群のダイナミクスを発展方程式によりモデル化して無限次元力学系において発展した手法を適用可能とし、関数解析的、力学系的手法を用いてその性質を調べる手法を発展させ、個体レベルの異質性を反映した内的構造をもつ個体群動態学の数学的基礎を構築することを理論的目的とした。具体的なモデリングの対象として人口レベルにおける感染症流行を考え、その閾値現象を解明することによって、流行抑止や病態制御のためのワクチン投与計画、治療計画の効果や中間媒介者の抑制効果、人口構造変化の影響などを考察する理論的根拠を得ることを応用上の目的とした。以上の観点から、本研究では以下の諸課題について研究を進めた。
[1]媒介生物による感染症流行モデル:シャガス病を想定して、人口学的なタイムスケールをもつ潜伏期と感染症により誘導された死亡率上昇の効果を明らかにした。
[2]HIV/AIDSモデル:HIV/AIDSの流行に関する年齢と感染持続時間をパラメータとする構造化人口モデルの開発をおこない、定常解の後退分岐が存在しうることを示した。
[3]垂直感染のある年齢構造化SIR型感染症モデル:安定人口における胃直感染のあるSIR型の感染症の流行モデルを考察した。基本再生産数による閥値現象を示した。
[4]年齢構造をもつ一次同次非線形感染症モデルの一般理論:年齢構造をもつホスト人口におけるSIR型の感染症の流行モデルを、一次同次の無限次元力学系として定式化して解析した。安定人口成長下での線形化安定性が原システムにおける持続解の安定性を意味することを示した。
[5]ライフサイクル事象のサバイバルモデル:BongaartsとFeeneyによって提起された平均寿命のテンポ歪み現象とその理論モデルを、非反復事象のサバイバルモデルによって再定式化して、その理論的含意を明らかにした。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2003 - 2006
【配分額】3,600千円 (直接経費: 3,600千円)