低次元臨界確率パーコレーション上のダイナミックスとそのスケール極限
【研究分野】数学一般(含確率論・統計数学)
【研究キーワード】
確率論 / 数理物理 / 解析学 / 統計力学 / ランダムウォーク / 飛躍型確率過程 / 国際研究者交流 / イギリス:アメリカ:韓国
【研究成果の概要】
本年度行った研究により得られた成果は、以下の通りである。
1. 熊谷は、Croydon氏(Warwick大)、Hambly氏(Oxford大)と共同で、与えられた有限グラフの列に対して、その上の対称マルコフ連鎖の混合時間が収束するための十分条件を与えた。この十分条件は、グラフのグロモフ-ハウスドルフ収束に、熱核の収束の概念を加えた新たな収束概念によって表現することができる。これにより、例えばErdos-Renyiのランダムグラフの臨界確率近傍での最大連結成分上のランダムウォークの混合時間に関する収束定理を証明することができる。この結果は3人の共著論文にまとめ、現在雑誌に投稿中である。
2. 熊谷は、昨年度から継続しているChen氏(Washington大)、Kim氏(Seoul大)との共同研究を論文にまとめ、雑誌に投稿した。その内容は、D次元正方格子上の対称マルコフ連鎖が飛躍型確率過程に収束するための十分条件を、ディリクレ形式の手法を用いて導出するものである。特に、ランダムコンダクタンスモデルへの応用として、2点間のコンダクタンスに長距離相関がある場合に、対応するランダムなマルコフ連鎖がD次元安定過程に収束するための十分条件を与える部分について、昨年度やや曖昧であった条件を明確にした。現在、査読結果を元に改訂版を作成中である。
3. 長田は白井朋之氏(九州大)と共に、Ginibre random point fieldのPalm測度が、もとの測度に対して特異になること、および(任意の相異なる)2点で条件づけたPalm測度は互いに絶対連続になることを示した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
長田 博文 | 九州大学 | 数理学研究院 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】挑戦的萌芽研究
【研究期間】2009 - 2010
【配分額】3,100千円 (直接経費: 3,100千円)