散逸型方程式における特異非線形構造の解析
【研究分野】数学解析
【研究キーワード】
関数方程式 / 非線形 / 散逸 / 特異性 / 偏微分方程式 / 楕円型方程式 / 放物型方程式 / 変分問題 / 分数ブラウン運動 / 臨界指数 / 特異拡散
【研究成果の概要】
2020年度は、非線形楕円型偏微分方程式の解の構造の解明,線形あるいは半線系の放物型偏微分方程式の解の特異性の解明を中心に研究を行った.
楕円型偏微分方程式に関しては,まず円環領域における楕円型方程式の正値球対称解の一意性について研究を深化させた.もとの方程式の解と線形化方程式の解によるある恒等式の改良を行い,そこに現れる比較関数を巧妙に選ぶことにより, あらたな結果を導くことに成功した.また,改良型Hardy不等式及びSobolev不等式の最良定数に付随する最小化問題の非球対称な最小化関数の存在と、Sobolev不等式の次元無限大形について研究を行った.さらにHardy型不等式やポワンカレ不等式の極限形を導出する研究と、非等方な量を持つFinsler Hardy不等式に関する研究も行った.
放物型偏微分方程式に関しては,まずFinsler ラプラシアンを主要部に持つ非線形熱方程式の初期値問題に対する解の存在を考え, 初期値の空間遠方での増大度に関する必要十分条件や時間局所解の存在時間について考察した.次にネットワーク上におけるChafee-Infante問題についての研究を進めた.この問題では2次分岐定常解が存在することが知られている. 非線形項を3次関数としたとき,現れる2次分岐解の非退化性を調べるための条件を楕円関数およびその積分を用いて表したが, これを解析するためには主に表示式の複雑さに起因する困難点があり継続して研究を進めることとした.さらに有界かつ非コンパクト性な軌道をもつ特異かつ変換群不変な力学系に対するラサールの不変原理の拡張と、その半線型放物型方程式への応用を行い,方程式の時間大域解は定常解をプロファイルとする擬進行波の有限個の重ね合わせに漸近することを示した.
【研究代表者】