数学の哲学の新たな展開
【研究分野】哲学・倫理学
【研究キーワード】
数学の哲学 / 計算の哲学 / 数学基礎論 / 論理学の哲学 / 証明論 / 集合論 / 数理論理学 / 哲学
【研究成果の概要】
現代の数学の哲学には (1) 数学の算術および集合論への還元,(2) 一階論理上での集合論の公理化,(3) 一階論理による証明概念の形式化,(4) チューリング機械による計算可能性の特徴付けという[四つの原理]がある.本研究はこの[四つの原理]と現代の[標準的数学観]の関係,[四つの原理]とそれらの相互の関係をに検討することで,数学の哲学の新たな展開と,計算・推論・情報の概念の哲学的解明を目指すものである.2020年度中は新型コロナウイルス感染症の拡大の影響のため研究会やワークショップの開催ができなかった.そのため,2020年度中は分担者の個人研究及び共同研究によって研究を実施し,以下の成果を得た.(1) 意味論と価値論の関係,システムの概念の分析を行なった.特に,意味論と構文論の関係と主観と客観の関係の同型性,要素・全体・環境という三層構造における機能の概念に基づくフレーゲの文脈原理および合成原理の再解釈を行なった.(2) PRA 証明論,証明論的順序構造と項書き換え系,図的情報提示の論理デザインのための社会心理学的調査,線形論理の観点による存在論的 TM 意味論研究,デフォルト推論の意味論と computer security への応用を考察した.(3) 直観主義論理(あるいはそれよりさらに弱い最少論理)に特殊な命題定項を加えた拡張言語への強い論理(古典論理等)の埋め込みについて議論した.(4) フレーゲの関数概念とラムダ抽象の関係の再考を行ない,フレーゲの関数概念には表現におていも内容においても未熟で不整合な点があることについて議論した.
【研究代表者】