波動方程式の外力項の内部観測による決定問題の数理解析的研究
【研究分野】数学一般(含確率論・統計数学)
【研究キーワード】
波動方程式 / 外力項 / 内部観測 / 正則化 / 境界観測 / 連続依存性
【研究成果の概要】
(1)波動方程式に対する逆問題の条件付き適切性の研究:まず、時間に関して不変である外力項を決定する逆問題を考察した。J. L. Lionsらが1980年代に提案したHilbert Uniqueness Methodといわれる境界制御における方法を本研究課題に適用し、外力項の境界観測に対する連続依存性を示した。
さらに係数決定問題において、ある位相によって“疎"である例外集合を除けば、境界観測は波動方程式の係数を一意的に決定し、さらに係数の境界観測への連続依存性も示すことができた。
(2)振動源を誤差を含む観測データから安定な方法で再構成する正則化の手法に対して近似解の収束を証明した。これは数値解析的見地からみて有用な成果である。
(3)熱方程式に対する逆問題の条件付き適切性の研究:熱方程式の解における平滑化の性質によって、係数の観測データへの連続依存性に関しては、弱い評価しか一般には期待できない。しかしながら、適当な条件の下に時間に関するメリン変換を用いてこの問題を(1)で考えた問題に帰着させることによって熱方程式に対する逆問題を考察した。
【研究代表者】
【研究種目】奨励研究(A)
【研究期間】1995
【配分額】1,100千円 (直接経費: 1,100千円)