心筋SPECTの定量解析を可能とするデュアルファンビーム型γ線透過型CTの開発
【研究分野】放射線科学
【研究キーワード】
シングルフォトンエミッションCT / ファンビームコリメータ / ガンマカメラ / 透過型CT / 心筋イメージング / トランケーション / 画像再構成 / 画像処理 / SPECT / 吸収補正 / モンテカルロシミュレーション
【研究成果の概要】
平成7年度には、心筋SPECTにおけるガンマ線の吸収、散乱の影響を正確に定量するために胸部のディジタルファントムを作成し、モンテカルロシミュレーションを行なった。この結果、臨床と非常によく一致したデータを得ることができ、このデータに基づいて画像再構成を行なったところガンマ線の散乱と吸収の影響が明瞭に現われた。また、吸収、散乱補正を行なった結果、実際の心筋のRIの分布に近いものが得られ、定量的な画像再構成には吸収・散乱補正の同時施行が重要であることが明確になった。次に、透過型ガンマ線CTを施行する際に、ファンビームコリメータの視野が被検体の大きさより狭い場合に生ずるデータトランケーションの影響をシミュレーションによって検討した。そして、非対称型ファンビームコリメータおよび長焦点型のファンビームコリメータによる透過型CTの視野の限界を解析的に算出する式を導いた。
平成8年度には、2つのファンビームデータから疑似的に大きなファンビームデータを構成し、これを用いて画像を再構成する理論を構築した。そして提案する吸収補正データ収集法の有効性を確認するために、シミュレーションを行なった。理論式や適用により、視野が従来のガンマカメラに比較し、12〜15倍程度拡大し、データのトランケーションの問題が解消できることが明らかとなったが、これをシミュレーションからも確認した。シミュレーションでは、ガンマカメラ装置のいくつかのデータ収集ジオメトリに関しても、画像再生上の問題点を明かにした。このシミュレーションによって、吸収補正を正確に行なうために必要となるデータ収集上の問題点を明確にした。さらに、臨床のSPECT装置への設置を行なう上での問題点を検討した。
【研究代表者】