非可換力学系の研究
【研究分野】解析学
【研究キーワード】
作用素環 / 非可換 / 力学系 / 群 / 作用 / 接合積 / 共変表現 / ローリンの性質 / 非可換力学系 / エルゴード性 / 自己同型写像 / 正準反交換関係 / 無限テンソル積
【研究成果の概要】
非可換力学系の研究とは一般の非可換代数上の群(または群もどき)の作用の研究のことである。(これは自然現象における時間発展や対称性を記述するものと期待される。)その代数が可換である場合を古典的ということにすると、まず古典論とその場合との比較が研究の対象となり、ついで非可換固有の現象をさぐることになる。これに関連して、群がコンパクトである場合に、研究代表者らは作用の性質と、接合積、共変表現に関して詳しい結果を得た。これによると、代数が単純なC^*環である多くの場合、作用は無限テンソル積に準じた構造、性質をもつ。(これはそれまでの可換群の場合の結果を拡張するものである。)
代数がある種のW^*環で群が従順離散群である場合には、作用の(外部的共役類の)分類理論が存在する。代数がC^*環である場合は、分類問題は作用そのものへの条件なしには困難であったが、この事情は少しかわりつつある。分類理論においてW^*環の場合に重要な役割を演じた、自己同型写像に対するローリンの性質は、C^*環の場合にも重要であることが知られていたが、これまできわめて特殊な系にしか成り立たないと思われていた。研究代表者らはある種の場合にこの性質をしめすことに成功した。このことは、クンツ環を含むようなある種のC^*環の類の分類にも重要な影響をもつことが明らかになりつつあり、もっと広範囲な系に対してその成立を確かめることが急務である。他方、考えるC^*環が非常に簡単である場合にも、作用はかなり多様でありうることも分かってきた。今までに知られている方法だけで分類が可能かどうか微妙である。
【研究代表者】