量子流体力学に現れる確率偏微分方程式の研究
【研究キーワード】
量子流体 / ゆらき・ノイズ / 量子渦 / ボース・アインシュタイン凝縮 / ホワイトノイズ / 確率偏微分方程式 / 熱的効果 / ゆらぎ・ノイズ
【研究成果の概要】
今年度, まず, 分担者である前田は,非線形シュレディンガー方程式の小さな解の長時間挙動を"Refined profile"という新しい道具を使うことによって解析することに成功した. 福泉・星野・戌亥は, 本研究課題に深く関連する非線形確率消散型波動方程式の非相対論的・超相対論的極限について考え, 空間2次元の場合に繰り込み法を用いて極限の正当化に成功した.この極限の正当化は, 分担者・小林の物理での論文(2016年に出版)の厳密証明に相当する. 結果は既に論文としてまとめてあり, 受理され, 2022年4月現在出版予定となっている.分担者・戌亥は, この他にも消散型非線形波動方程式の解の一意性、分散型方程式や時間依存する消散項つき非線形波動方程式の解の大域挙動の解析などを行った. 福泉は, 確率Gross-Pitaevskii方程式の空間2次元での解の大域存在の証明を完成し Gibbs 測度の構成も行った. こちらも2022年4月現在出版予定の論文となっている. 分担者・小林は, 物理的観点から, 太陽質量程度、半径数10kmほどの天体である中性子星において実現されると理論的に予想されている中性子超流動および、量子渦の性質を調べた. 中性子超流動は地球上で実現される超流動ヘリウムとは内部自由度が異なる新奇な超流動が実現されること, その内部自由度を強く反映した, 非等方的な渦芯構造を持つことを, 中性子星超流動に対するGinzburg-Landau方程式の数値解析から明らかにすることに成功した. 分担者・星野は特異確率偏微分方程式論の手法を深め, Regularity structureとparacontrolled calculusの同値性についての論文(Bailleul氏との共著)が出版した.指数型非線形項をもつ確率偏微分方程式についての論文も発表している.
【研究代表者】