超離散可積分系の数理
【研究分野】大域解析学
【研究キーワード】
超離散系 / 可積分系 / セルオートマトン / 可解格子構造 / クリスタル / トロピカル / 可解格子模型 / 箱玉系 / 超散系
【研究成果の概要】
1.周期箱玉系(A_1^<(1)>型)の基本周期の系のサイズN→∞での漸近的な振る舞いを決定した。周期箱玉系の「可積分性」を反映し、その軌道は系の位相空間における体積(exp[N])よりもはるかに小さな領域に限定されている。最大の基本周期は(exp[N^<1/2>])程度であるが、ほとんどすべての初期値に対して、基本周期はexp[(log N)^2]以下であることを証明した。
2.affine Lie代数D_n^<(1)>に対する(BerensteinとKazhdanにより提唱された意味での)幾何学的クリスタル(geometric crystal)を構成した。スペクトルパラメータを含む行列による実現に基づいて、幾何学的クリスタルのテンソル積をintertwineする双有理変換-トロピカルR行列--を具体的に構成し、その唯一性を証明した。トロピカルR行列は幾何学的Kashiwara operatorsと可換であり、Yang-Baxter関係式を満たす。それは加法の逆演算を持たず、超離散系のクリスタルに対する組み合わせ論的R行列の局所線形方程式を生み出すことがわかった。
3.B_n^<(1)>,D_n^<(1)>,A_<2n>^<(2)>およびD_<n+1>^<(2)>に対する組み合わせ論的R行列を構成した。この組み合わせ論的R行列をボルツマンウエイトとするクリスタル格子における、ソリトンの散乱則をワイル群の作用として表現した。さらに、半無限クリスタル格子系に対して分配関数を考え逆散乱法の箱玉系版と呼ぶにふさわしいと思われるアプローチ(散乱データ,順,逆散乱マップ等)がクリスタルで定式化できることを示した。
【研究代表者】