北東アフリカにおける牧畜民の持続可能性と国際協力:情報技術を活用した広域的分析
【研究分野】国際関係論
【研究キーワード】
牧畜民 / アフリカ / マルチエージェント・シミュレーション / 衛星画像解析 / 国際協力 / 持続可能性
【研究成果の概要】
2016年度は、概ね計画通り研究を実施することができた。まず、牧畜民の移動と土地利用をシミュレートしたエージェントベース・モデルについては、実データとの接合をさらに進めた。すなわち、従来用いてきた衛星画像に加え、昨年ケニアで行った現地調査で得た牧畜民ポコットのキャンプ地のGPSデータを用いて、モデルのパラメータをより現実に整合的な振る舞いをもたらす値にカリブレートした。その上で、乾燥地における土地利用の変化や長期的な植生の変化が移動牧畜の持続可能性にもたらす影響を検証するシミュレーションを行った。こうして得られた結果を、京都大学のアフリカ地域研究会や米国で開催されたInternational Conference on Computational Social Scienceなどで報告することで、多様な分野の研究者から貴重なフィードバックを得ることもできた。
また、2016年8月下旬から9月上旬にかけて、モンゴル西部と中部を訪れた。初めて訪れる場所であり、アフリカの牧畜民の家畜管理や土地利用との比較が主な目的であったが、現地の調査助手の働きもあり、ことのほか円滑に調査活動が進み、キャンプ地の移動データなどを想定以上に得ることができた。様々な遊牧民の家族へのインタビューを通して、畜群管理や土地利用の意思決定に関する詳細な情報も入手することができたため、上述のモデルのさらなる精緻化を図った上で、モンゴルのデータを活用したシミュレーションも行い、より広い見地から乾燥地の移動牧畜の持続可能性についてアプローチしていきたいと考えている。
最後に、昨年夏TICAD VIが開催されたことを機会に、アフリカの開発の文脈において牧畜民が今日直面している問題を紹介する一般向けの短文を執筆した。これは『アジ研ワールド・トレンド』2016年11月号に掲載されている。
【研究種目】特別研究員奨励費
【研究期間】2014-04-25 - 2017-03-31
【配分額】2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)