新しい災害医療対応シミュレーションシステムを用いた災害医学教育、災害医療の実践
【研究分野】自然災害科学・防災学
【研究キーワード】
公共健康危機管理 / 首都直下地震 / 災害関連死 / 未治療死 / 医療救護班 / 離散事象シミュレーション / 待ち行列モデル / 耐震化 / シミュレーション / 公共政策 / 災害医療政策 / 災害医療対応 / 家具転倒防止 / 災害医療 / 地理情報システム / 社会医学 / 自然災害 / シミュレーション高学区 / 防災 / シミュレーション工学
【研究成果の概要】
【はじめに】これまで存在しなかった災害医療活動を俯瞰するためのシミュレーション・システムを用いて首都直下地震での災害関連死を減少させるために効果的な項目の検討を行った。【対象・方法】離散事象シミュレーションを用いて災害医療対応の急性期の全体像を再現することを試みた。【結果・考察】処置を行うことができずに死亡する、いわゆる“未治療死”が5,511人であるのに対し、発生傷病者数をデフォルト値の7割に減らすことができれば、未治療死を2,251人まで減少させることが分かった。発生傷病者数を減らすこと、発災直後から医療救護班が積極的に被災地内で活動することが、災害関連死を減少させるために有効である。
【研究の社会的意義】
本研究ではじめてシミュレーションで算出されたデータに基づいて急性期の災害医療対応の検討を行うことが可能となった。これまでの教訓や経験に基づく検討に加えて、シミュレーションによって算出されたデータに基づいて検討を行えることで、効果的な施策を数値で比較・検討することが可能となった。医療崩壊を起こさないために耐震化・家具転倒防止策を徹底することで発生傷病者数を減らすことが重要である。災害関連死は、発災超急性期におきる“未治療死”が多いため、広域医療搬送の充実以上に、発災早期に最大限の医療救護班を派遣して、被災地内の残存医療機能をフルに活用しつつ活動を行うことの重要性が確認された。
【研究代表者】