途上国における温暖化対策と持続可能な発展-「京都」以後の国際制度設計をめざして
【研究分野】環境影響評価・環境政策
【研究キーワード】
(地球)温暖化 / 国際制度 / 京都議定書 / (発展)途上国 / 特続可能な開発(発展) / 国際情報交換 / 多国籍 / 持続可能な開発(発展) / クリーン開発メカニズム(CDM) / 多国籍※ / (地表)湿暖化
【研究成果の概要】
途上国における温暖化対策の推進と持続可能な発展の実現をいかに両立させうるかを分析し、途上国が参加する中長期的な国際制度の設計に必要な条件を検討し、明らかにするという本研究課題の目的に照らし、第一に、現行の京都議定書の国際制度の評価と課題の分析を行った。クリーン開発メカニズム(CDM)をはじめとする京都メカニズムや資金供与メカニズムなど、京都議定書は、途上国の温暖化対策と持続可能な発展を支援する一定のしくみを有しているが、途上国の発展の道筋を大きく転換しうるポテンシャルは十分ではない。温暖化対策を進めつつ持続可能な発展をめざす方向へ途上国の立場を転換しうる要因は様々あるが、とりわけ、削減の約束の形態と衡平性、排出量取引制度をはじめとする市場メカニズムなどを重要性の高い要因として同定された。特に、市場メカニズムは、費用対効果の高い方法での削減を可能にする手法としてだけでなく、温室効果ガスの排出の費用を明確にし、温室効果ガス削減に価格をつけることにより、削減技術の市場価値を高め、削減技術の開発、普及のインセンティヴを与える手法として評価されており、さらに、温暖化対策を支援する投資・資金のフロー、技術移転を生み出す機能がある。市場メカニズムの導入が国際制度の大枠を規定する一方で、市場メカニズムの導入がはらむ問題への対処も不可欠である。
第二に、国際制度に関する諸提案の分析を行った。各提案のたつ前提条件や価値判断が異なるため、一定のありうるシナリオのもとでどのような提案が最も合意可能であり、その場合提案にはどのような利点や問題点があるのかをシナリオ・アプローチにより検討した。そして、途上国の温暖化防止努力を引き出す国際制度案として現実性を帯びてきている持続可能な発展政策と措置(SD-PAMs)提案、セクター別アプローチなどに焦点を置いて検討を行い、その利点と限界を明らかにした。
【研究代表者】