Green tide control at Great Lakes using possible grazers
【研究キーワード】
底生緑藻 / 地球温暖化 / 間隙水 / 環境DNA / 捕食者 / シオグサ / 五大湖 / 安定同位体 / 異常繁茂 / 食物連鎖
【研究成果の概要】
今年度もコロナ禍で五大湖での現地調査を行うことができず、また底生緑藻の異常繁茂について国際学会などで意見交換することもできなかった。そこで世界の専門家とオンライン会議を頻繁に行い、議論の結果をまとめて、底生緑藻の異常繁茂の原因項目を抽出して国際誌で発表した。
原因候補項目として温暖化の影響があったので、日本で2番目に大きい湖沼である霞ヶ浦を対象に、地球温暖化によって大湖沼の湖岸域にどのような影響が起こっているかを調査した。その結果、日平均水温で比較すると湖心と湖岸部での有意差は認められなかった。しかし暖候期の最高水温で比較すると、湖岸域の方が湖心よりも有意に高温になっていた。湖岸域では夜間に湖心よりも冷却が進むために、平均水温では最高水温が湖心より高いことが検出されなかったことが分かった。
底生緑藻繁茂の一因として間隙水リンの増加が考えられる。リンの分画定量にはガラスシリンジを用いていたが、この方法は高度な技術を要すため、今年度は五大湖の現地調査で行えるよう、操作の簡略化を図った。また水草類が繁茂する夏季に宍道湖湖岸の調査を行った結果、水草類が腐敗している湖岸ではリン酸が7 mgP/L,アンモニア態窒素が18 mgN/L検出された。さらにはpHが5.9まで低下しており、pHの影響も無視できないことが示唆された。
底生緑藻Cladophora属が遊走子状態で浮遊しているときに捕食者と考えられる二枚貝の分布を把握するには、直接採捕調査では時間とコストがかかる。そこで、ここ10年ほどで生物分布特定に使用されるようになった環境DNAを用いることを検討した。今年度は二枚貝のイシガイを対象にプライマーを作成し、霞ヶ浦の流入河川においてイシガイの検出を行った。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
管原 庄吾 | 島根大学 | 学術研究院環境システム科学系 | 講師 | (Kakenデータベース) |
小室 隆 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 | 港湾空港技術研究所 | 専任研究員 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
【研究期間】2019-10-07 - 2025-03-31
【配分額】18,200千円 (直接経費: 14,000千円、間接経費: 4,200千円)