東アジアにおけるグローバル化の新段階の学際的研究
【研究分野】広領域
【研究キーワード】
グローバル化 / ローカライゼーション / ナショナリズム / 地域主義 / ローカライゼイション / グローバリゼイション / 国民国家 / ローカリズム / システム変換 / 市場経済化 / 多文化主義 / アイデンティティー / エスニシティー / 人口移動
【研究成果の概要】
急速に展開する経済と情報のグローバル化が、東アジア、東南アジア地域で引き起こしている複雑な諸変化を、1)グローバル化という現象の理論的把握、2)ナショナルな(国民国家的)機構と政治文化の変化、そして3)ローカルな組織と生活文化の変化という3つの次元において、実証的かつ理論的に把握することを目標とし、調査研究活動を展開した。
なかでもローカルな生活の場から見たグローバル化の諸相と、それに対するローカルな社会と人々の対応を現地調査によって捕捉して行くことに大きな活動の目標を置き、韓国、アメリカのアジア人社会、ビルマ、タイ、中国などで調査を実施した。
その結果、グローバル化が東アジア、東南アジアの政治経済文化、システム、生活のあらゆる面において絶大な影響力を与えている紛れもない事実とともに、それに対する適応或いは反応のあり方はきわめて複雑であり、生活文化の国境を越えた同質化が急速に進むなかで、むしろナショナルなレベルでの国民的アイデンティティのあり方を強調するような政治文化が東アジア、東南アジアの広範な地域で強調されるようになっていることが明らかになった。またアジアに見られる新しい宗教運動、活動も往々にして、グローバル化の進展とともに激化する生活、経済あらゆる面での競争に敗れた或いは不満を持つ人々の心に訴え、支持を勝ち取っている。一方ではグローバルなポップカルチュアを消費しながらも、加速する競争の時代そのものに、違和感を持つ層はかなり広いといわねばならない。これは将来のグローバル世界が解決を迫られている深刻な問題といえよう。
本研究は、こうした各地における現地調査に基づく多彩な報告を最終報告書としてまとめると同時に、グローバル化をめぐる欧米の研究状況を明らかにする為別冊として、グローバル化研究をめぐる文献解題を取りまとめた。
【研究代表者】