持続可能社会に向けた市民参加型政策立案のためのモデルベースフューチャー・デザイン
【研究キーワード】
モデルベースデザイン / 持続可能社会 / 市民参加 / 政策立案 / フューチャー・デザイン / モデルベース
【研究成果の概要】
フューチャー・デザイン(FD)は,持続可能社会実現に向けて将来世代の視点を取り込む社会システムのデザインと実践である.本研究では,システムモデリングの作業が人々の対話や合意形成に与える効果を科学的に解明し,その知見に基づいたモデルベースFD方法論を構築することを目的とする. それに向けて本研究では,(1)フューチャー・デザインワークショップ(FDWS) のためのモデリング手法の開発,(2)FDWS の実施,(3)手法の効果の分析,(4)モデルベースFD方法論の構築,の4 つの課題を設定している. 2020年度では各課題について,下記の研究を行った.
(1)については, 2019年度に行ったモデリングツールの検討を踏まえ,因果ループ図とマルチエージェントシミュレーションに着目し,その活用方法の確立および洗練化を行った.(2) については,具体的なテーマを設定して,モデルを用いずに進めるWSとモデルを用いて討議を進めるWSを実施し,それぞれにおける現世代,将来世代の行動の差異を発言傾向から浮かび上がらせる予定であったが,新型コロナウイルス感染拡大に伴う各種措置により,多数の参加者を1か所に集めることが困難となった.Web会議システムなどの活用による実施を検討し,一部の試験的な取り組みを行った.(3) については, 2019年度の成果を洗練化するため,2019年度に取得したWS参加者の発言記録に対してテキストマイニング分析を詳細に行い,分析結果への考察を深めた.(4)については,WS とその分析結果に基づいて,フューチャー・デザインの方法論としての仮説を提示した.また,研究の過程で,適宜,市民参加型討議の研究で先行する海外の研究者,特にドイツ・ハンブルク大学の研究チームと意見交換を行った.
【研究代表者】