エコシステム・マネージメントの理論および社会制度の構築とその適用
【研究分野】林学
【研究キーワード】
エコシステムマネージメント / アダプティブマネージメント / 地理情報システム / データベース / 自然再生 / 釧路湿原 / ガバナンス / 野生生物 / 前田一歩園
【研究成果の概要】
中村は、釧路湿原、標津川の自然再生事業を中心に、エコシステム・マネージメントを実施するにあたって、現状の生態系についてその構造と機能、健全性を評価する手法、さらに劣化した生態系を修復するための調査、計画論を構築した。菊池は、水域生態系の保全の視点から、河川生態系において重要な役割を担うヤナギ科河畔林について、河畔林保全あるいは再生の観点から、撹乱頻度の高い立地における実生定着・成長に関する利点を明らかにした。また、陸域と水域の移行帯に生育する水生植物オランダガラシを材料に、その生育状況と河川物理環境との関連を整理した。金子は、エコシステムマネージメントを情報面からサポートする地理情報データベースの構築を行い、「保全・自然再生を支える自然環境データの整備」及び「GISとインターネットを活用した自然環境の保全・管理」として取りまとめた。尾張は、実務者が経験的に獲得してきた暗黙知の形式知化を目的に,マルチメディア技術(映像・音声)と情報技術(GPS・GIS)を活用したナレッジ・データベースを構築した。池上は、広域圏として北海道北部の33市町村を選択し,音威子府バイパスがかかる音威子府村と中川町の社会的,自然環境的位置づけをGIS解析により明らかにし、センサーカメラを使った野生動物の調査手法も確立した。柿澤は、ガバナンスを構築するためには、主体の確立、政策イニシアティブの発揮、行政組織の再編、継続生の確保、正統性の確保が大きな課題となってくるとし、当面重要な役割を果たす行政の組織のあり方について市町村を中心に研究を行い、また森林所有者の意識調査も実施し、様々な知見を得た。山本は、森林と他の土地利用の境界(インターフェース)は、土地への社会的・経済的要求を背景として絶えず変動してきたとし、北海道を事例に、農業生産と林業生産との間での土地利用転換を経済的、社会的に解析し、そのメカニズムを解明した。
【研究代表者】