Eco-DRR施設群の性能評価および最適計画に関する基礎的研究
【研究キーワード】
Eco-DRR / 霞堤 / 氾濫水理計算 / 適地推定 / 機能評価 / 遊水地 / 減災効果 / 数値解析 / 河川との連続性 / 魚類分布 / EcoDRR / 流域治水
【研究成果の概要】
当初研究対象の5河川(姉川、安曇川、北川、長良川、由良川)に加えて、令和2年7月豪雨で被災した球磨川における一体型モデル(降雨~流出~流下~氾濫の一連のプロセスを一体的に解析可能な水理モデル)の開発・改良を進めた。
安曇川・北川での解析結果から、霞堤群の有する機能を、①河川水位の低減効果,②パイピング緩和効果,③貯留効果,④氾濫流・内水排除効果,⑤氾濫域限定効果,⑥氾濫流速抑制効果の6つに分類し、それぞれ定量的に評価する方法論を確立した。また、球磨川の解析結果から、集水域・氾濫域にある農業幹線水路が、周辺の氾濫特性や支川・本川の水位変化に一定の影響を与えることを確認することができた。この他,長良川・姉川では、d4PDF領域気候モデルを用いた流出解析を実施し、2度上昇・4度上昇シナリオ時の河川流量の変化を明らかにした。
また、最適形状・配置を検討するための準備として、配置・形状による配置・形状による減災効果の違いについて、数値実験を通じてパターン別(河床勾配・氾濫域勾配、霞堤不連続部の開口部幅・控堤高・角度・長さ別)に整理した。
氾濫水理特性と氾濫原生態系との関連性を検討するための準備として、滋賀県内に現存する霞堤遊水地(堤内遊水地)を、①河川・水路の連続性(横断連続性)、②圃場整備の有無に着目して分類し、魚類生物調査を実施した(姉川、安曇川、大戸川、日野川)。横断連続性が高い遊水地では流水性・クリーク性・止水性の魚類が混在しており、魚類群集の多様度(NMDS指数)が高い傾向が確認された。
【研究代表者】