メイガ科昆虫におけるフェロモンおよび寄主選好性の変異と種分化
【研究分野】植物保護
【研究キーワード】
ツトガ科 / フェロモン / 配偶行動 / 寄主選好性 / 地理的変異 / 集団内変異 / 種分化 / メイガ科 / 性フェロモン
【研究成果の概要】
アズキノメイガ:(1)性フェロモンに見られる多型(異性体比)を実際に作り出すフェロモン生合成系において,多型の制御がどのステップで行なわれるかを調べたところ,前駆体脂肪酸からアルコールへの還元過程であることが特定できた。(2)本種とごく近縁なヨーロッパアワノメイガとオナモミノメイガの系統関係と種内多様性をミトコンドリアCOII遺伝子の塩基配列にもとづき比較したところ,ハプロタイプは3種を通じてきわめて類似しており,しかも種間で大きく重複することから,3種の近縁性が再確認された。コブノメイガ:主要な日本への一次飛来源と推測される地域に入るベトナム(ハノイ)と中国最南部(広西省南寧)を選び,それら地域における雄が反応する性フェロモン型(ブレンド)を調査した。その結果,いずれも日本型のブレンドだけに誘引活性が認められた。さらに,前年調査したフィリピンのボホール島で再調査を行なったが,前年と同様フィリピン型のブレンドには雄が誘引されず、日本型のブレンドだけに活性が認められた。
ニカメイガ:(1)マコモとイネの共存する場所でフェロモントラップにより年間の発生消長を調査した。越冬世代ではマコモに由来すると推定される大型の個体はイネに由来すると推定される小型の個体よりも数週間早く発生した。これは越冬幼虫が蛹化までに要する有効積算温度の違いによると思われた。(2)イネとマコモ両系統をDNAレベルで識別できるかどうかを検討した。ミトコンドリアCOI遺伝子の塩基配列では両者の単系統性は示されなかった。ついでマイクロサテライトマーカーを探索するため,Lianらの2段階作成法により,null alleleの影響を受けないプライマーセットの作成を試みた。
【研究代表者】