難治性皮膚疾患に関わる新規脂質関連分子の網羅的探索と機能解析
【研究キーワード】
脂質代謝 / 皮膚疾患 / 脂質 / 皮膚 / 免疫 / バリア / Phospholipase A2
【研究成果の概要】
皮膚の恒常性維持において、皮脂腺から分泌あるいは表皮角質層を覆う脂質成分が、水分透過性バリア、微生物感染防御などに重要な役割を担っていることが知られており、皮膚の脂質異常がアトピー性皮膚炎など皮膚疾患の病態に関与することを示唆する報告がなされてきている。しかしながら、Phospholipase A2(PLA2)ファミリーを中心とする脂質代謝酵素群がそれらにどのように関わるかは不明な点が多い。そこで、本研究では、まず、ヒト臨床サンプルを用いて、ヒト皮膚免疫関連疾患に関わる新たな脂質代謝関連分子の発現を網羅的に探索することで、疾患におけるその重要性を推察する。続けて、その分子の病態における役割について、疾患モデルマウスや遺伝子改変マウス、in vitroの実験などを駆使することで、詳細に解明することを目的としている。現在のところ、予定通り、皮膚疾患特異的に発現が変動する脂質関連分子を複数見つけることができており、中には疾患マーカーや合併症の有無との相関がみられている分子もあることから、網羅的解析による成果は得られている。今後は、組織染色などを用いて各分子の発現局在などについても検討を行い、脂質代謝関連酵素については、その代謝産物などについても検討すべく脂質質量分析なども計画している。さらには遺伝子改変マウスや疾患モデルなどを用いることで、各分子の皮膚疾患・病態における機能解析についても研究を展開していきたいと考えており、一部の分子についてはすでに開始できている。これらの研究は、皮膚免疫関連疾患を標的とし、臨床サンプルと実験動物を用いて、網羅的・包括的に解析するものであり、脂質をターゲットとした新規創薬展開の基盤となる可能性がある。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
佐藤 伸一 | 東京大学 | 医学部附属病院 | 教授 | (Kakenデータベース) |
武富 芳隆 | 東京大学 | 大学院医学系研究科(医学部) | 講師 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)