自然アクセス制度の国際比較―コモンズ論の新展開にむけて
【研究分野】環境政策・環境社会システム
【研究キーワード】
自然アクセス制 / コモンズ / 万人権 / 比較研究 / 自然アクセス / 開放型コモンズ / 協治 / 環境ガバナンス / 国際比較研究
【研究成果の概要】
英国・北欧(スウェーデン・ノルウェー)・中欧(スイス・ドイツ)・米国・日本における自然アクセスの比較研究を行った。文献調査、来訪者アンケート調査を実施した結果、私的に囲い込まれる自然・空間が広がる中で、各国は人々の自然アクセスを確保する仕組みを積極的に作り出していることが分かった。アクセスを維持、創出する方法は、歴史的経緯もあり多様である。環境アクセスへの権利に法的地位を与え明確化するものから、慣習や新しい仕組みを作り出すものまで、実に多様な形で存在していることが分かった。その背景には、利用者(市民)の自然アクセスに対するニーズと利用秩序を生み出そうとする動きが存在することも分かった。
【研究の社会的意義】
万人の自然アクセスを許容する社会的仕組みを解明しようとする本研究は、これまでのコモンズ研究(とりわけ開放型コモンズ」)をはじめとする資源論だけでなく、余暇の過ごし方や自然の癒し効果を研究する森林学や医学の領域にも、基礎資料を提供するものである。自然アクセスの正負両面について、複数国を対象にして検討を進めた本研究は、公園や河川敷などの公共空間における自然保全や利用秩序の形成だけでなく、自然の放置や無関心が進む林野や耕作放棄地などの過少利用問題の解決にも資する可能性を持つ。
新型コロナ禍にあって広がりを見せる野外活動にともない発生する諸問題を考えていく際にも、寄与する点を有している。
【研究代表者】