木曽三川のエコロジカル流域管理計画
【研究分野】環境動態解析
【研究キーワード】
木曽三川 / 水質 / 生態系 / 物質循環 / 地理情報 / 人間活動 / モデル化 / 流域管理
【研究成果の概要】
時空間流域環境の評価:流域環境を評価するための新しい手法として、木村は衛星搭載マイクロ波レーダSARを使い、レーダ画像の差分干渉法を適用することで地表変異を捉える方法を示した。また、市橋は無農薬茶園と慣行農法茶園の昆虫相を比較することにより茶園環境を評価する方法を検討した。一方、藤原・菊池は古地図や航空写真から植生を判読し、約100年間の景観構造変化を表す手法を開発した。リモートセンシングによる流域環境の評価のうち、航空機によるものとして、小見山は岐阜大演習林(553ha)の空中写真から、森林バイオマスを樹冠面積から推定した。また宮坂は同演習林のMSS画像により樹種や造林年度の判別を試みた。人工衛星利用分野では、秋山は衛星による植生分類法を改良し長良川流域の土地利用別の窒素吸収量を推定した。また、長澤は衛星情報に加え、太陽入射角補正やDEM情報などGISデータを用いて揖斐川流域粕川の土地被覆分類を高める方法を編み出した。
物質収支の解明:森林生態系では中川が針葉樹の人工林を対象に、樹種や地形による成長、リターの蓄積や分解速度の違いを定量的に明らかにした。また、津田は伐採年度の異なる落葉広葉樹林における植生回復と炭素収支の関係を解析し、秋山は50年生の広葉樹林の炭素貯留量を提示した。小泉は耕地生態系のうち二毛作農地の土壌表面からの二酸化炭素放出速度推定のためのモデルを作成した。さらに宮川は木曽三川の水稲作期の地理的分布を明らかにし、作付体系の成立要因を栽培品種と水利用の面から解析した。草地生態系については板野が家畜-草地モデルを提示している。
物質循環過程のモデル化と水質改善;湯浅は長良川流域における界面活性剤の河川流出濃度を非イオンと陰イオンの界面活性剤に分けることにより、観測地の流出量を推定した。また笹野・板垣は自治体などが保有する森林計画図や森林簿を使って、流域の環境保全諸機能を簡易に計測する手法を提案した。篠田は衛星情報による流域内土地被覆状態の高精度推定法を提案するとともに森林域での全窒素流出過程に及ぼす植生分布の影響や降雨による流出量推定のモデルを提案した。さらにこれらの結果を基に、流域環境評価指針や住民参加型流域環境保全策の提案を通じて総合的な流域管理システムを構築した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
小見山 章 | 岐阜大学 | 農学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
篠田 成郎 | 岐阜大学 | 流域環境研究センター | 助教授 | (Kakenデータベース) |
小泉 博 | 岐阜大学 | 流域環境研究センター | 教授 | (Kakenデータベース) |
藤原 道郎 | 千葉県立中央博物館 | 研究員 |
中川 一 | 岐阜県森林科学研究所 | 研究部部長 |
宮坂 聡 | 中日本航空株式会社 | 研究担当課長 |
|
【研究種目】地域連携推進研究費
【研究期間】1999 - 2001
【配分額】11,000千円 (直接経費: 11,000千円)