海底堆積物中の間隙水のpH計測を指向したISFETアレイセンサーの開発
【研究キーワード】
センサー / pH / ISFET / 海洋酸性化 / pHセンサー / イオン感応性電界効果トランジスタ
【研究成果の概要】
(1)拡張ゲート型ISFETセンサーの作製
ダイシングソーを用いてP型シリコンウェハを5mm角にカットし,電子サイクロトロン共鳴スパッタ装置(ECR)を用いて,シリコンウェハの表面に酸化タンタル(Ta2O5)の薄膜(イオン感応膜)を形成した。次に,フレキシブルプリント回路基板の先端に,銀/塩化銀ペーストを用いて,イオン感応膜を形成したシリコンウェハを接続し,シリコンウェハのイオン感応部以外をエポキシ樹脂でモールドした。このフレキシブルプリント回路基板に電界効果トランジスタ(FET)を取り付け,拡張ゲート型ISFETセンサーを作製した。
(2)拡張ゲート型ISFETセンサーの性能評価
上記で開発した拡張ゲート型ISFETセンサー,ゲート電位検出部(Ag/AgCl),プリアンプ,データロガー,電源およびコンピュータなどから構成されるpH計測システムを構築し,pH標準液を用いて開発したISFETセンサーの性能評価を行った。すなわち,開発したISFETセンサーのイオン感応部とゲート電位検出部を一定温度の3種類のpH標準液(pH 4.01, 6.86, 9.18)に順次浸漬し,ゲート電圧を測定した。その結果,開発したISFETセンサーはpHの変化に対して瞬時に応答し,pHが高くなるとゲート電圧の値が増加することがわかった。そこで,ゲート電圧値をpHに対してプロットした検量線を作成したところ,相関係数0.999の良好な直線性を示す検量線が得られた。このとき,5回の繰り返し測定における相対標準偏差(RSD)は0.35~0.71%,10秒間のノイズの標準偏差の3倍と定義したセンサーのpH分解能は0.00022 pHと見積もられ,開発したISFETセンサーは市販のガラス電極を用いるpHセンサーと同等の性能を有することが確認された。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
茅根 創 | 東京大学 | 大学院理学系研究科(理学部) | 教授 | (Kakenデータベース) |
森岡 和大 | 東京薬科大学 | 薬学部 | 助教 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)