高濃度CO_2,高圧海水での石灰岩溶解実験(CO_2中和隔離のための基礎実験)
【研究分野】環境動態解析
【研究キーワード】
石灰岩 / 炭酸カルシウム / 溶解実験 / C02隔離 / 飽和度 / 溶解速度 / アルカリ度 / 全炭酸 / CO2隔離
【研究成果の概要】
本研究の目的は,室内実験から,常圧〜100気圧までの圧力条件下で,高濃度CO_2の海水を石灰岩と反応させ,その溶解速度を測定して,溶解速度に関わる条件を明らかにすることである.
この実験は,サンゴ礁地下の石灰岩層にCO_2を注入して,海水に溶解,石灰岩と中和させてCO_2を炭酸水素イオンとして海洋に隔離する(下記化学式)技術開発のための基礎実験である.
CO_2+CaCO_3+H_2O→Ca^<2+>+2HCO_3
本研究では,溶解実験のために,常圧条件と高圧条件の2つに対応した実験装置をそれぞれ新規に開発した.前者は高圧実験の予察的な実験のためのもので,同時に将来の地球温暖化に伴う海洋表層の石灰岩質の外殻を持った生物(有孔虫・サンゴ)へのインパクトを解析に有益なものであった.本研究の結果から,海洋表層における各鉱物種の溶解速度が定量化され,既存の研究結果との整合性が確認されている.
高圧実験の結果からは,注入されたCO_2が,石灰岩の溶解により,数分程度の短い時間内に海水中に隔離されたことが確認された.また,同時にCO_2の溶解による海水の酸性化の抑止やCO_2分圧の減少も確認されており,石灰岩を利用したCO_2隔離法が有効な手法であることが示されている.注入する海水のCO_2分圧が高いほど,石灰岩溶解による隔離の効率が下がることも確認されており,注入する海水のCO_2分圧が全圧に対して数〜数十%の場合が,最も効率的であると予想される.実験で得られた石灰岩溶解によるCO_2隔離量は,海水1m^3あたり10^<-1>〜10^0kgのオーダーであった.また,本実験からは,従来の研究では確認されなかった,溶解速度の流速に対する強い依存性が検証されており,実際のCO_2注入の際の,CO_2隔離や石灰岩溶解の動態の解析に重要な知見を与えるものである.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
加藤 徹 (嘉藤 徹) | 産業技術総合研究所 | エネルギー技術研究部門 | 主任研究員 | (Kakenデータベース) |
渡邉 敦 | 名古屋大学 | 大学院・環境学研究科21世紀COEプログラム | 研究員 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2005 - 2007
【配分額】22,100千円 (直接経費: 17,000千円、間接経費: 5,100千円)