ブルーカーボン生態系からの有機炭素の外洋移出・隔離過程の実証技術開発とモデル化
【研究キーワード】
炭素循環 / 沿岸湿地生態系 / 炭素隔離 / 環境DNA / 生態系モデル / 沿岸浅海域生態系 / 有機炭素隔離 / 植生復元 / 海草藻場 / マングローブ / 比表面積
【研究成果の概要】
令和2年度前半はまず令和1年度までに実施した、環境DNA法を利用したフィリピン・ブスアンガ島西側の浅海域堆積物におけるマングローブ・海草藻場由来有機物の移出・貯留状況に関する調査結果を整理して、日本地球惑星科学連合の大会で発表した。また並行して、前年度末に入手した八重山諸島近海の外洋堆積物試料の分析を進め、八重山諸島のブルーカーボン生態系からの有機炭素の外洋移出・貯留過程を調査した。DNA断片の分布調査結果からは、マングローブや海草藻場に由来する有機物が水深1000m以深の深海底にまで到達して貯留していることが見出された。試験的な粗い見積によると、堆積物中の全有機炭素のうちの1割以上が海草藻場に由来すると判定される深海堆積物も見られた。
本年度も引き続き、産業技術総合研究所の調査航海との連携により、琉球列島北部の外洋性堆積物試料を入手してブルーカーボン貯留に関する分析を進めた。琉球列島北部の外洋堆積物ではマングローブや海草藻場に由来する有機物は環境DNA法によってはもはや検出することができず、代わりに中国大陸由来と見られるSargassum目の大型褐藻類のDNAが多量に検出された。このことに関しては引き続き追加試料を調達して分析を進めて検証と輸送機構の解明を目指しており、令和3年度中に速報的な論文を投稿する予定である。
また前年度から懸案となっていた炭酸塩堆積物のルーチン分析法の問題を解決し、残された試料の分析と結果の整理を進めた。
本年度はコロナ禍による移動制限・立入制限が長期化したことから、当初9月に予定されていた八重山地方における現地調査と室内実験を令和3年6月に延期せざるを得なかった。しかしこの時にもまだ現地研究施設が利用できない状況であったため、施設を利用する必要のある実験はやむなく断念し、海草藻場での堆積物コア試料のサンプリングのみを実施した。得られたサンプルは現在分析中の段階である。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
中村 隆志 | 東京工業大学 | 環境・社会理工学院 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
堀 正和 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 | 水産資源研究所(横浜) | グループ長 | (Kakenデータベース) |
浜口 昌巳 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 | 水産技術研究所(廿日市) | 主幹研究員 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2018-04-01 - 2022-03-31
【配分額】16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)