森林火災から大量に生じる固体有機エアロゾルの発生・除去過程の解明と気候影響
【研究キーワード】
ターボール / 森林火災 / エアロゾル / 電子顕微鏡分析 / 気候影響 / 電子顕微鏡 / 気候変動 / 大気観測 / 航空機観測 / 地球気候 / 飛行機観測
【研究成果の概要】
気候変動に影響を与えるエアロゾルの一つに、森林火災から大量に発生する固体有機物粒子(ターボール)があげられる。このターボールは、主要エアロゾル種に匹敵する排出量が推定されながら、生成・除去プロセスや光学特性など、気候モデルに組み込むための必要なデータがなく、世界的にターボールの気候影響はほとんど分かっていない。そのターボールの理解のため、2019年度の夏季に北米において航空機観測(FIREX-AQ)に参加し、バイオマス燃焼由来の試料を採取して透過型電子顕微鏡を用いて分析した。そして、新たに開発した画像解析手法によるターボールの検出と、透過型電子顕微鏡を使った組成分析を組み合わせて、10以上の森林火災から生じた粒子の生成メカニズムについて解析を行った。
ターボール粒子に加え、新たな森林火災由来のエアロゾル粒子種として灰粒子を新たに提唱した。電子顕微鏡分析、化学分析などを組み合わせて、その存在量や特性を明らかにした。また、年間の排出量の推定も行い、重要なエアロゾル源になることを明らかにした。これらの内容をまとめ、Journal of Geophysical Research誌に出版を行った(Adachi et al. 2022)。
また、成層圏から由来するナノサイズの隕石成分について解析を行った。これらの粒子も森林火災由来粒子と同様に気候に影響をもたらす可能性がある。気象条件や化学分析からこれら粒子の挙動を粒子の画像とともに明らかにし、現在論文投稿中である。
最後に、北極における森林火災由来エアロゾル粒子の特徴を調べ、春秋に多い傾向を示した。また、これらの粒子が雲の生成に与える影響を解析し、論文投稿に向けて準備中である。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
茂木 信宏 | 東京大学 | 大学院理学系研究科(理学部) | 助教 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)