PM2.5の有害性の新たな指標としての粒子表面積の多角的解析
【研究キーワード】
環境分析 / 大気汚染防止・浄化 / 環境質定量化・予測 / エアロゾル / 粒子状物質 / 表面積 / 拡散荷電法 / 肺沈着表面積 / PM2.5
【研究成果の概要】
大気粒子の有害性を表す指標がどのような物理的・化学的粒子特性に依存するのかについての研究を進めた。特徴の異なる日本の2地点(神奈川県横浜市:都市圏、石川県珠洲市:非都市圏)において調査した。物理特性に関する室内実験においては、有害性の指標となるDTT酸化能と粒子表面積の間に明確な相関性が見られた。一方、実環境大気観測の結果からは、いずれの地点においても単位粒子量あたりのDTT酸化能は、粒子濃度に対する大気粒子表面積とは明確な相関を示さず、特定の化学成分との相関が高かった。このことは、実環境大気粒子のDTT酸化能は、概ね化学的特性によって説明可能であることが明らかとなった。
【研究の社会的意義】
実環境大気粒子の有害性が粒子の物理的特性・化学的特性のどちらに依存するのか、を知ることは重要であるため、本研究を進めた。特徴の異なる日本の2地点においてフィールド調査を行い、化学特性に関して、K, Mn, Pb, アンモニウムイオン, 硫酸イオン, 熱分解性有機炭素などの特定の化学成分とDTT酸化能との関連性が明らかになった。室内実験においてはDTT酸化能と粒子表面積の間に明確な相関性が見られた一方で、実環境大気観測の結果からは、実環境大気粒子のDTT酸化能は、物理的特性よりは概ね化学的特性によって説明可能であり、またその変動に寄与する化学成分の質量により推定可能であることが明らかとなった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
岩田 歩 | 慶應義塾大学 | 理工学部(矢上) | 助教 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2018-06-29 - 2022-03-31
【配分額】6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)