エアロゾルキャラクタリゼーション実験(ACE-Asia)計画の推進と国際対応
【研究分野】地球化学
【研究キーワード】
エースアジア / エアロゾル / 放射特性 / 無機物 / 有機物 / 東アジア / 西部北太平洋 / 海洋大気
【研究成果の概要】
アジアの風下域に当たる西部太平洋でのエアロゾルの集中観測実験(ACE-Asia:Aerosol Characterization Experiment in Asian Region)が提案され、国際的に準備が開始されるにいたった。本企画研究の目的は、大気化学、地球化学、大気物理、放射影響モデルを専門とする研究者らが集って、2001年と2003年に計画されているACE-Asia実験を実施するための研究計画を立案することである。昨年10月8-9日に札幌にて大気科学分野の研究者による研究集会が開催され、以下の研究の必要性が明らかとなった。
1,従来広く研究されてきた硫酸エアロゾル等に加え、有機エアロゾルの研究の現状を調査した結果、有機物の分子レベルの解析をおこなう必要があること、特に、エアロゾルの放射特性に大きな影響を及ぼすと考えられる水溶性有機物の組成を明らかにすることが重要である。
2,東アジア地域からのエアロゾル及びその起源物質(人為および天然起源)の排出と大気輸送の経路を明らかにする上で、二酸化硫黄、窒素酸化物、すす、黄砂等の輸送モデルを開発する必要がある。
3,エアロゾル研究の成果を放射モデルに組み込み、西部-中部太平洋におけるエアロゾルによる放射強制力の見積もりを行うためには、エアロゾルの組成研究だけではなく、異なった科学組成からなるエアロゾル粒子の放射特性の評価、雲凝結核としての能力評価のための実験を組織する必要がある。
4,アジア起源のエアロゾルが西部北太平洋の生物生産にどのように影響しているかに関して、これまでの研究を調査した結果、エアロゾルによる栄養塩の海洋への供給、数日〜10日後のプランクトンブルームの発生、海洋から大気へのDMS・揮発性有機物などの放出、海洋大気における光化学反応、海洋エアロゾルの変質などの大気・海洋相互作用についての研究をアジア大陸の風下である西部北太平洋で行う必要がある。
【研究代表者】