福島原発事故後の復興ならびに社会再編過程に関する行政社会学的領域横断研究
【研究分野】社会学
【研究キーワード】
原発事故災害 / 復興過程 / ガバナンス / 福島原発 / 復興 / 福島原発事故 / 原発事故 / 避難 / 福島第一原発 / 社会再編
【研究成果の概要】
本研究を通じて、主に以下の内容を明らかにすることができた。
第1は、国が主導する復興政策と、被災地行政ならびに被災当事者の状況やニーズとの間に乖離がみられ、そのことが復興プロセスを阻害している可能性があることである。第2は、その原因が、既存の制度的枠組みや国・地方の権力関係にみられる「経路依存」と深くかかわり、さまざまな場面で負の作用として働いてきたことである。第3は、こうした状況の改善に資する萌芽が、被災地地域の住民と自治体とのかかわりを見直すなかにみられたことである。第4は、そこで着目されるべき議論として、被災者の生活再建と復興にかんして、超長期的な視野からの対応が求められることである。
【研究の社会的意義】
災害研究における「時間」概念は、災害の前後を通じた長期でとらえるものとされてきたが、とくに甚大な被害をもたらす大規模災害の場合は、世代再生産をも視野に入れた超長期的な視野が必要であり、それに対する政策的な対応を可能とする災害法制の見直し等も求められる。そのためには、ローカルな取り組みとそれらを通じた知見の蓄積が不可欠である。
ここで重要なことは、平時からの官民関係の醸成と地域コミュニティの強化に加え、災害後の政策決定過程におけるガバナンスである。これらの取り組みは、南海トラフ地震など、近い将来に到来が想定される大規模災害に向けた政策科学という側面からも重要な役割を果たすものと考えられる。
【研究代表者】