地域関発の進行と地元社会の構造変化
【研究分野】社会学
【研究キーワード】
工業開発 / 農地転用 / 農業経営 / 家族 / 公害 / 環境問題 / 地域開発 / 土地利用 / 職業転換 / 土地区画整理事業 / 社会移動
【研究成果の概要】
本研究は、千葉県房総内湾、および、茨城県鹿行地域で、海岸埋立てによる工業開発にともない漁場を失い生活転換を余儀なくされた漁業椎放業者(千葉県)、および、工場用地への土地提供に代る代替地へ移転した農、漁民(茨城県)について、それぞれ20年間の生活変化の軌跡を明らかにするために行なった戸別面接調査の結果を取りまとめたものである。房総内湾の市原、君津については1968年に350世帯を対象に漁業椎放業後の生活変化について面接調査を行った。鹿行地域については、神栖町の三つの代替地への移転者150世帯について1973年に調査した。
今回はそれぞれの調査地域で、前回と同じ世帯を対象に、その後の工業開発の進展の下での地元居住者の生活変化を、世帯構成、世帯員の転出入、就業者の就業形態、農業経営内容の変化、所有地の土地利用の変化、主要な所得源の変化などの諸側面から検討し、さらに、工場進出、地域開発、公害問題に対する意見、評価を問い、前回の調査から現在までの間の生活変化、意識、態度の変容を追究しようとした。
市原、君津の両地域についての前回調査以後の主な変化は次の通り。
世帯については、世帯員数の減少、世帯員の老齢化が顕著である。この変化は農業の縮小と深く関連している。工場進出以前はノリ栽培と農業が生活の基盤で、長男夫婦をふくめた三世代家族が普通であった。しかし漁業を止めてから長男をふくむ子供達の大部分が地元を離れ、農業も今や消減寸前の状態で、家族構成も都市世帯に近づいたためである。世帯員の職業構成でも、農業者の激減、外部雇用者の比重の一層の増大が見られる。また田畑はもとより庭先のノリ干し場までもが貸家、アパート、駐車場、貸事務所などに転用され、所得源でも、第1位の給与についで、不動産による収入が第2位となるに至った。意識の面でも変化は大きい。しかし公害に対する懸念は決して軽減されていない。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
深沢 建次 | 埼玉大学 | 教養学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
清水 浩昭 | 厚生省人口問題研究所 | 人口動向研究部 | 部長 |
河西 宏祐 | 千葉大学 | 教養部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】一般研究(B)
【研究期間】1991 - 1992
【配分額】4,900千円 (直接経費: 4,900千円)