欧米諸国における対発展途上国教育援助政策・手法に関する比較研究
【研究分野】教育学
【研究キーワード】
教育援助の理念と政策 / 教育援助の手法 / 国際的連帯 / 国益 / ジョムチエン会議 / セクター・ワイド・アプローチ / 自助努力 / 人づくり / 国際教育協力 / 手法 / 専門家 / フランス / フィンランド / アフリカ / アメリカ比較国際教育学会 / 国際教育協力論集 / 教育援助政策 / 政府開発援助 / EU / 英国 / アメリカ / 世界銀行 / アメリカ国際開発庁(USAID) / イギリス国際開発省(DIFID) / ドイツ技術協力協会(GTZ) / スウェーデン国際開発庁(SIDA) / ノルウェー開発協力庁(NORAD)
【研究成果の概要】
本研究では、ドイツ、フランス、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、オランダ、イギリス及びアメリカの8ヶ国、並びに世界銀行及びEUの2国際機関について、それぞれの教育援助の理念と政策の特徴を探り、また、具体的な援助の実施体制や手法、そして評価の実施・活用の仕方を明らかにすることを試みた(関連報告15編、翻訳資料2編)。さらにはこれらの調査研究を基に、今日の国際開発援助思潮の全体的な動向を把握する(関連報告1編)とともに、日本の国際教育協力の特質を抽出しようと試みた(関連報告3編)。
援助の理念・政策については、北欧諸国のように"国際的連帯"あるいは先進国の"責任"としての援助といった普遍的な意義を標榜する国がある一方で、影響力行使の手段としての援助(フランス)、世界戦略の一環としての援助(アメリカ)などより直接的に国益を重視する国など、様々な意義付けがなされているが、いずれにしても国民の理解と合意が益々必要になってきている。教育援助については、確かに1990年のジョムチェン会議以降、ほとんどの国において、教育、なかんずく基礎教育重視が謳われるようになっているが、国によって違いはあるものの、実際の予算配分等において全体としてこの傾向が顕著になったということはない。また、援助手法については、イギリス、北欧諸国等がいわゆるセクター・ワイド・アプローチなどドナー間協調を強く唱導している一方で、アメリカ、フランス、ドイツなど少なくとも金額面での援助大国がさほど関心を示していないのは興味深い。また、本国からの専門家派遣という従来型の方式から、当該国の専門家の活用という方式への転換が明確になってきている。
ひるがえって日本をみると、このような国際的な動向に留意しつつも、被援助国、援助国双方の経験をもつとともに、自助努力による人づくりを重視してきた国として、特色ある援助の理念と方式を模索すべき時期を迎えている。
【研究代表者】