南部アフリカにおける民主化と社会構造変動に関する学際的研究
【研究分野】地域研究
【研究キーワード】
民主化 / 社会変動 / 民族紛争 / 農村社会 / 南部アフリカ / 南アフリカ / モザンビーク / ザンビア / 人種関係 / 紛争 / ジンバブエ / 複数政党制 / 選挙 / 歴史教育 / 真実和解委員会 / 構造調整 / ジンバブウェ
【研究成果の概要】
南部アフリカ諸国において選挙が繰り返し実施され、制度的な民主化は進展してきた。しかし政府による言論弾圧や司法介入など民主化の課題も明確になってきた。しかも民主化が社会改革を伴ったとはいえず、階層間・地域間格差は拡大し七いる。南アフリカやジンバブエにおける土地改革やザンビア、モザンビークにおける貧困の解消などがこの地域の民主化の持続にとって重要である。
南アフリカの民主化は他のアフリカ諸国に比較すると成熟している。しかしアパルトヘイトに限らず植民地支配の遺産にどう向きあい克服するかという問題が残されている。このてんではナミビアも同様であり、ジンバブエにも共通する。これらの国々ではョーロッパ系住民の数が多くその影響力の大きさ故に、植民地支配の問題は民主化と深くかかわっていることが明らかとなった。
民主化や経済自由化は経済的機会を増大させ、社会的な変化を促進した。すなわち従来からの相互扶助的な規範を弱め社会変容をもたらしつつあることは新たな社会的葛藤や不安を生み出した。ザンビアでは構造調整導入後、地方市場の発展が見られたが、農民の購買力は向上せず、しかも不安定であり、季節性も著しい。商工業者は農業にも従事せざるをえない。ジンバブエでは市場経済化と人口増加により従来の共同牧草地の管理・運営が危機に瀕している。モザンビークでは解放闘争以来の地域対立構造が民主化の進展の中で再生産されている。いずれにおいても南部アフリカでは民主化が進展しつつも、それによる社会変容が民主化に対して新たな課題をつきつけている。
【研究代表者】