レオ・シュトラウス政治哲学研究の方法による思想史研究と政治哲学の可能性
【研究分野】思想史
【研究キーワード】
レオ・シュトラウス / 政治哲学 / 著述技法 / 僭主政治論 / 倫理学 / 思想史研究 / 社会思想 / ポストモダン / 政治思想 / マキアヴェリ / 国際政治 / 国際研究社交流 / 国際情報交換 / 政治好学 / 哲学 / 神学 / 自然権 / 僭主政治 / シュトラウス / コジェーヴ / 古典読解 / 古代と近代 / クロプシー / 近代性の三つの波
【研究成果の概要】
3年間にわたる研究で得られた成果は以下のように纏められる。(1)シュトラウスの著作の翻訳(『僭主政治論』『リベラリズム、古代と近代』「近代性の三つの波」「迫害と著述の技法・序論」など)。(2)アメリカをはじめ世界各地の研究者たちと共同研究が進められた。アメリカ:ネイサン・タルコフ教授(シカゴ大学)、スティーヴン・スミス教授(エール大学)マイケル・ズッカート教授、キャサリン・ズッカート教授(ノートルダム大学)ドイツ:ハインリヒ・マイアー教授(ジーメンス研究所)、オーストラリア:ヘイグ・パタパン博士(グリフィス大学)ら6人の学者による連続講演会と研究集会(東京と京都・大阪で計十二回の講演集会を持つ)の実現がそれである。(3)シュトラウスの政治哲学をベースにしたポストモダンの時代の政治・倫理問題の解明(山内、霜田など)。(4)シュトラウスの思想史研究の方法による思想史の再解釈(石崎、飯島、柴田、川出、柘植、太田など)。(5)近年のシュトラウス派の政治思想の研究(田中によるローゼンの研究、マイケル・ズッカートの報告など)。(6)僭主政治や君主政治と哲学の関わりの研究(金田、飯島、添谷、谷らの研究)。(7)「共和主義」「立憲主義」「近代の国家秩序の後にくる政治と社会思想」の研究(川出、太田による)。(8)中金聡によるオークショット、ジュヴネルらの研究。(9)またシュトラウスの思想史研究の方法(秘教的著述技法と注意深い読解)による古典的政治哲学の研究(飯島、石崎)には多くの若手(助手や学術振興会特別研究員など)研究者や院生も加わり、研究が推し進められた。(10)また雑誌『政治哲学』を創刊してそれらの成果を公表する体制が整いつつある。『政治哲学』2号ではタルコフの「僭主政治論・序論」が翻訳して公表されたが、第3号においてスミス、C.ズッカートの講演が日本語版で公表されることになっている。3年間にわたるわれわれの研究によって、これまで秘密のヴェールに包まれていたシュトラウスの政治哲学の真の姿を明るみにだす作業が大きく前進させられた。われわれの研究は、最近のアメリカに見られる歪んだ形でのシュトラウス理解とも一線を画し、真のシュトラウス像の解明に向けた研究となったと確信している。
【研究代表者】