回転クライオスタットによる量子液体の実験研究
【研究分野】広領域
【研究キーワード】
量子液体 / ヘリウム薄膜 / 巨視的量子効果 / 量子渦 / 超低温物理学 / 回転場 / 渦格子、渦液体 / コスタレッツ、タウレス転移 / 回転クライオスタット / 2次元超流動 / 渦対 / 巨視的量子化 / 超低温技術 / ジョセフソン効果 / 渦の量子化 / 薄膜の超流動 / 超低温 / ジョセフソン接合 / 渦(Vortex)の量子化
【研究成果の概要】
本研究は平成2年度より3カ年計画で、ミリケルビンの超低温領域で量子液体に制御された回転運動を与える回転クライオスタットを建設し、これを用いて量子液体特有の性質を研究しようとするものである。この種の装置は我が国では初めて建設されるものであり、限られた時間と予算で成果を上げるべく研究課題と技術的特徴とを検討した(H2年度)。即ち、研究対象として多孔質媒体中の超流動薄膜を選び、単量子渦の生成に必要な10^<-4>rad/secから充分な渦密度を実現する6.2rad/sec以上の回転角速度を安定に実現するよう設計を進めた。
初年度、仕様策定から物性研地階にビットを掘り電磁シールドを施し、この内部に特注仕様の回転機構の備え付けまでを行った。次いで回転機構を支える空気ベアリングのための圧搾空気系を整備し、回転機構の調整を行うと共に回転稀釈冷凍機の製作に第2年度に取り掛かり、第3年度周辺気体分配盤及びポンプ類の設備を完成させた。
本年 この様に大がかりなプロジェクトではあるが初期の仕様を達成し、現存する世界の回転クライオスタットの中で最高の回転速度を冷凍機の連続運転中に実現した。引き続き低温での精密実験の準備を行なっている。
また、多孔質中のヘリウム薄膜について理論的検討を進め、2次元多孔質で作った弱接合で位相がnπ(n:integer)だけ変化する事を見出した。これは3次元弱接合での2nπの位相変化に対比させられる。この様な系を実験的に実現するための多孔質ガラス膜の作成とそのメゾスコピックな加工について検討を進めた。
【研究代表者】