現代アメリカにおける学校統治と学校責任の調査実証研究
【研究分野】教育学
【研究キーワード】
ガバナンス / リスポンシビリティ(責任) / アカウンタビリティ / 学校改革 / ソーシャル・キャピタル / 学校選択 / 学校財務 / バウチャー / 学校統治 / 責任 / 学校責任 / リーダーシップ / 学校協議会 / 教育特区 / チャータースクール / 学校評価 / 地方教育行政
【研究成果の概要】
この研究プロジェクトは、アメリカ合衆国の現地調査を踏まえて、実証的に学校改革の日米比較を行う目的で組織された。研究仮説として、学校改革の二つの類型を設定した。第1のタイプとして学校参加・内在的責任型、第2のタイプとして教育市場・外在的責任型である。特筆すべき研究成果は、1990年以降、日本では学校参加と外在的責任をミックスした第3の改革類型が、大きな潮流になってきたことを認識できたことである。もちろん、仮説で提起した二つの類型の改革も、規制改革の推進とその批判という枠組みの中で、教員組合をはじめとする民間や政党、そして政府系審議会において、政策や運動として推進された。しかし、主なる制度化は、2001年の学校評議員制度から2004年の学校運営協議会制度への展開であり、これはまさに第3の類型の現実化である。
3つの類型をアメリカの制度改革に即していうと、第1類型の典型はシカゴ学校改革であり、第2の類型はチャータースクールと教育バウチャー制度である。ところで、連邦や州によるアカウンタビリティ政策の中で、第1類型であるシカゴ改革にも外在的責任の要素が付加され、日本の第3類型に類似してきている。そうした中で、学業達成などの成果を上げるためにも、学校内部のソーシャル・キャピタル、特に信頼という資産が不可欠であることが明らかにされた。また、チャータースクールについては、日本ではその肯定と否定に2分されているが、事例分析を通じて類型化をおこない、また、教育バウチャーについてもクリーブランドの事例を取り上げて、教育法的検討を加えたことは、従来の研究の空白を埋めるものである。
以上の成果は、第2年度の中間報告書と第3(最終)年度の最終報告書という形で、公表されている。
【研究代表者】