過酷な自然環境におけるリスクマネジメントの実践知の解明
【研究キーワード】
リスク / オンサイト / 質問紙 / 状況判断テスト / フィールド科学 / 実践知 / 自然環境 / リスク認知 / PTG(ポスト・トラウマティック・グロース) / PTG(ポスト・トラウマティック・グロース) / 行動観察 / KYT / 南極観測 / 質問紙調査 / 質的研究 / リスクマネジメント
【研究成果の概要】
①実践知質問紙の開発:2021年2月にオンライン調査システムにより第一回を実施した後、2022年に同一の対象者に対して第二回を実施した。調査では,登山経験,登山のリスクマネジメントの実践知,リスク志向性,批判的思考の質問紙に加え、状況判断テスト試行版を実施した,参加者は熟達者群として,登山者対象の研修参加者および山岳協会,山岳連盟の会員であった。データは現在も継続して取得中であり、一般登山者が約300人、熟達者群が約200程度の見込みである。作成と分析は村越と楠見が担当した。
②59~62次南極観測隊等で取得したデータをもとに、過酷な自然環境のリスクをどのようにとらえているかについての質的研究と量的研究を引き続き進めた。質的研究では、KY写真、南極での歩行時のリスクについての発話データ、南極の氷河上での野外調査事の面接調査によるデータに対してSCAT(大谷、2019)の手法で分析を行い、変動の多い環境の中での個人的リスクの特定と対応の特徴を把握した。KYおよび危険評価テストの定量的結果をもとに、経験者と初参加者、初参加者の事前事後のリスク評価を比較することで、現地での経験によりリスク評価がどう変化するのかを明らかにした。主として村越が担当し、学術研究員の河合美保と、満下健太の協力を得た。
③過酷な自然体験の中でのもう一つの心理的結果であるPost Traumatic Growth(PTG)の研究に着手し、南極観測のFA経験者2名からインタビューデータを取得した。調査については井出・村越が担当した。
④過酷な自然環境の中でのリスクマネジメント方略について、これまでの実証的データを元に総説的論文を野外教育学会に投稿・受理されるとともに、同学会での自主企画シンポジウムを実施し、情報共有を図るとともに、議論を深化させた。
【研究代表者】