グノーシスとモニスムス――ドイツ近代美術の位相
【研究キーワード】
バウハウス / コミュニケーション / デザイン / 想像力 / ポスト・主体性 / 規範 / 例外状態 / グローピウス / 生活世界 / ゲーテ / 自然科学 / 芸術 / 庭園 / 地質学 / アーカイヴ / ドイツ近代美術 / プロテスタンティズム / ゲーテ自然科学 / 非・神話化 / モダニズム / アナクロニズム / エキュメニズム / 歴史記述 / 近代美術 / ドイツ / グノーシス / モニスムス
【研究成果の概要】
ドイツ近代美術(19世紀末~20世紀)は、明確な綱領を持つ芸術家集団(Gruppe, Bund, Verein, Ratほか)の結成・解散を特徴とする。その歴史は、近代社会における共同体/集合体関連の変容や、社会システムや規範の機能主義的分化、また文化の複雑化を映出する。
芸術的価値が多様化し「芸術の終焉のあと」が問われる現在、最重要の論点は「規範とデザイン」にほかならない。本研究は、グノーシス的二元論やモニスムス的一元論を視野におき、造形学校「バウハウス」を主題に、無規範的な多元性という「例外状態」に即して、倫理的なポスト・主体性の制作行為としての革新的なデザイン・芸術概念を構築した。
【研究の社会的意義】
現代の文化状況は、科学的認識や情報科学的手法を優先し、倫理的行為や芸術的制作・感性的価値体験を重視しない。文化は、いわば危機的な時代に際会している。実在する制作物=作品が使用価値や記号価値とは別様に、想像力を活性化する芸術的な機能は、今日の研究上、最優先されるべき課題にほかならない。
わが国はもっぱら、工芸を応用芸術・デザインとみなし、経済的地域振興を環境デザインと同一視してきた。デザイン美術館が存在しない先進国は、わが国のほかにない。本研究の成果は、デザイン概念の根本的な再構築に寄与し、情報機器的コミュニケーションとは本質的に異なるコミュニケーション・デザインの実践にむけた契機になりうる。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2018-04-01 - 2021-03-31
【配分額】3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)