開発途上国における教育政策評価の有効性に関する複合的実証研究
【研究分野】教育社会学
【研究キーワード】
教育政策 / 開発途上国 / 政策評価 / ESD / 教育学 / 評価
【研究成果の概要】
本研究は、途上国における教育政策評価がどの程度の有効性をもって実施されているのかについて、「万人のための教育-ファスト・トラック・イニシアティブ(EFA-FTI)」などの国際的な教育開発援助の影響を勘案しながら、教育政策の策定・実施状況がどのように評価され、その評価が次のサイクルの政策形成過程においてどのような形で活かされているのかについて、実証的に明らかにすることを目指して実施した。とくにカンボジアとフィリピンを事例として選び、途上国における教育政策評価がいかにして行なわれているのかについての具体的な検証を試みた。
こうした目的で行った本研究では、幅広く教育政策評価についての指標のあり方などについて検討を加え、その成果を英文のディスカッション・ペーパーとして発表した。その作業を踏まえて、実際に評価指標が現地の実状に即したものとなっているのかどうか、また、政策形成過程でそれらの指標がどの程度活用されているのかといった点について、カンボジアにおいて現地調査を数字にわたり行った。現地調査の結果は、国際会議の場で口頭発表したり、論文として公表した。また、カンボジアと比較して教育開発援助の影響が少ないフィリピンにおいて、近年の教育改革のなかで教育政策がどのように形成されたのかについて、「学力」問題と「愛国心」教育に焦点をあてて分析し、論文を執筆した。
さらに、途上国の教育政策評価の基礎となる考え方の整理やジェンダーの観点からの議論を構築するとともに、「持続可能な開発のための教育(Education for Sustainable Development : ESD)」に関する教育政策のあり方についても検討を行った。このESDは、途上国のみならず先進国でも多様な教育活動に取り組むことが目指されているが、いずれの国・社会でも十分に実践が積まれているとはいえない。そのため、本研究ではとくにカンボジアをその事例対象として選定し、途上国の文脈におけるESDの実践とその評価のあり方について検討を加えるとともに、先進国も含めた他の国・社会への応用可能性を論じた論文を発表した。
【研究代表者】
【研究種目】挑戦的萌芽研究
【研究期間】2009 - 2011
【配分額】3,230千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 330千円)