乳がん患者の衣服選択を支援するスマートミラー開発のための基礎研究
【研究キーワード】
外見ケア / 被服ケア / 乳房 / 下着 / 知識構造 / QOL / 肌色
【研究成果の概要】
乳がん患者の活発な生活を衣生活の側面から支援する被服ケアの構築を最終目標とする。本研究では、被服ケアのツールとして人工知能を活用したスマートミラーを開発するための基礎研究として、治療により時間軸で変化する患者の外見の変化に伴う、下着や衣服へのニーズ、肌の色の変容および衣服の色やデザインによるイメージの変化を定量的に把握し、着用者の気分(QOL)との関連を調べる。またAIが患者の視点を学習できるように、外見ケアに携わる専門家の知識、患者の生理的・心理的データや経験的な知識を構造化するための枠組みを検討する。
今年度は外見ケア外来の受診者および外見ケアイベントへの参加者対象に、乳がん患者の衣生活の実情と下着や衣服へのニーズを問うインタビュー調査、および肌の色の時系列の変化を調べる方法の検討と実施を計画していたが、コロナ禍で患者への直接の接触が困難で計画通りには研究を遂行することができなかった。
そこでコロナ禍にあっても患者のニーズに対応している外見ケアサービスの提供者を対象に、検討をすすめることとした。補正下着販売企業の協力を得て、コーディネーター4名を対象に、患者に適切な下着やパッドをおすすめするための経験的な知識やノウハウ、現状での課題を問うインタビュー調査を行い、知識の構造化と課題の抽出を試みた。この結果より、患者とコーディネーターが対面で対応しなくても、個人の乳房形状を推定できる仕組みが求められていることがわかった。解決の糸口として、現在日本人女性120人の3次元形状データ(基盤研究(A)25242010による計測データ)より乳房形状を分析中である。なお解析用データはを用いているまた、今後乳がん経験者と対話しながら広く知識を収集して研究を進めるためには、オンラインの活用が必須と考え本研究のホームページの開設を準備中である。
【研究代表者】