旧石器時代サヌカイトの流通に関する体系的研究:東部瀬戸内地域を中心に
【研究キーワード】
旧石器時代 / 原産地推定 / サヌカイト / 東部瀬戸内 / 蛍光X線分析 / 産地推定 / 瀬戸内東部地域 / 岩屋産地 / 石器 / 石材
【研究成果の概要】
本研究は、旧石器時代の遺跡で出土するサヌカイトについて、後世に生じた欠損部を利用して蛍光X線分析を実施し、原産地推定をおこなうものである。2020年9月に岡山理科大学の分析機器が更新され、2021年度上半期までに原産地データの取得を行った。2021年度下半期には碇岩南山遺跡(兵庫県)と大河内遺跡(岡山県)の2件の分析とともに、国分台周辺の原産地について3度目の踏査を実施した。
碇岩南山遺跡はたつの市(旧御津町)所在の後期旧石器時代の遺跡である。市教委より18点を借用して蛍光X線分析を実施し、概ね香川県産のサヌカイトと考えられる結果を得た。しかし、分析値がばらついて産地の散布域を外れるものがあり、産地区分(白峰群、蓮光寺群)との関係も明瞭ではないなど、課題を残した。
大河内遺跡は勝田郡勝央町所在の遺跡で、縄文時代草創期の石器製作址と考えられる。2019年12月に資料調査を行って分析対象を選定したが、前後して機器が使用不能となったため分析実施を保留していたものである。サヌカイト(安山岩)15点の蛍光X線分析を実施した結果、1点については麻畑産地(鳥取県)に特定され、ほかは概ね香川県産サヌカイトと評価できそうだが、ここでも分析値のばらつきがみられた。
2022年2月には国分台周辺のサヌカイト原産地を踏査した。実施箇所は国分台東南麓、白峰山東方、蓮光寺山南麓、金山東麓である。原石の産状を確認するとともに、原礫を採集して岡山理科大学へ搬入した。国分台東南麓では、サヌカイトが赤色風化土に含まれる状況と、それが崩落することにより角礫や亜角礫の散布が生じている状況を確認した。白峰山東方と蓮光寺山南麓についてはこれまでにも踏査を実施したことがあるが、今回の踏査によってさらに原礫を追加し、原産地のデータを補強するものである。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
白石 純 | 岡山理科大学 | 生物地球学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
森先 一貴 | 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所 | 都城発掘調査部 | 主任研究員 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2018-04-01 - 2023-03-31
【配分額】2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)