3Dデータを用いた錯視効果による装飾彫刻の表現手法の研究
【研究分野】芸術一般
【研究キーワード】
装飾彫刻 / 錯視効果 / 3D / 木彫 / 錯視 / 文化財 / 伝統工芸 / 3D
【研究成果の概要】
装飾彫刻はモチーフの実態を忠実に彫るというよりは、必要となる材料の大きさ・設置位置・強度等を考慮した上で、意図的にデフォルメして、錯視を随所に盛り込むことでその造形を成立させていると考えられている。本研究では、モチーフの歪ませ方等を3Dデータから検証し、装飾彫刻における錯視効果の原理を彫刻実技者の視点より考察した。
本研究は主に愛知県内々神社拝殿の蟇股『龍』の3Dデータを用いて、「拝観者の視点による見え方の違い」、「下絵と彫刻の関係性」、「錯視効果の検証」について考察を行った。その結果、計画的に顔を歪ませることで、特定の視点に対して彫刻としての感覚的な完成度を高めている点を指摘した。
【研究の社会的意義】
一方装飾彫刻においては、その制作年代、作者、種類、モチーフについての研究は建築、彫刻の両分野において着実に行われ、一定の成果を生み出しているが、錯視効果については文献でもわずかに触れる程度に留まり、制作技法をテーマにした研究は行われていない。本研究の成果は、彫刻における錯視効果を用いた表現技法としての一分野を確立し、既存の装飾彫刻の再評価への動きが飛躍することが期待される。
また装飾彫刻の中には屋外にあるものが多く、風化や劣化は避けられない状況にある。本研究のように3Dデータを取得することで、経年変化の指標や不慮の事故における貴重な資料になりうる。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
山口 泰 | 東京大学 | 大学院総合文化研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
|
【研究協力者】 |
山田 修 | |
|
【研究種目】挑戦的萌芽研究
【研究期間】2015-04-01 - 2019-03-31
【配分額】3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)