東南アジア大陸部における家畜化プロセスの総合的解明
【研究分野】文化財科学・博物館学
【研究キーワード】
東南アジア / 初期農耕 / 狩猟採集 / 家畜 / 動物考古学 / 先史学 / 人類学 / 考古学 / 初期家畜 / 家畜化プロセス / 新石器時代 / 形態解析 / 古病理学 / DNA / 年代測定 / 生業復元
【研究成果の概要】
ベトナム北部山岳地帯のHang Cho遺跡(13000-12000年前、狩猟採集)、中国最南部のHuiyaotian遺跡(9000-7000年前、狩猟採集)、ベトナム北部沿岸部のMan Bac遺跡(3800-3500年前、初期農耕文化の並行期)、ハロン湾島嶼部のCai Beo遺跡(4000-3500年前、ハロン文化)から出土した動物群の動物考古学的調査を実施した。その結果、1)更新世末期から新石器時代の初めにかけて周囲の環境を利用した多彩な哺乳類狩猟が展開されていた、2)後期新石器時代におけるイノシシ属の家畜利用開始に伴い、哺乳類狩猟の多様性が低下した、などを明らかにした。
【研究の社会的意義】
東南アジア大陸部はイノシシ属の家畜利用が開始された地域の一つと考えられているが、そのプロセスと家畜利用開始期の生業の様相は明らかではなかった。本研究は、家畜が出現するより前の社会では遺跡周辺の環境に適応した多角的な狩猟が行われていたのに対し、家畜利用の開始に伴い相対的に生業における狩猟活動の比重と多様性が低下したことを明らかにした。また、研究手法に関し、DNA分析や安定同位体分析などの理化学的方法では良好な結果を得ることが難しく、温暖なベトナムの動物骨の研究において骨の形態学的分析が高い有効性を持つことを確認した。
【研究代表者】