文書群復元と歴史的景観復元の融合による栄山寺および栄山寺領の総合的研究
【研究キーワード】
古代史 / 中世史 / 栄山寺 / 古文書 / 景観 / 宇智郡 / 寺院史 / 荘園史 / 景観史 / 中世 / 古代 / 寺院 / 荘園
【研究成果の概要】
本研究は、旧大和国宇智郡栄山寺領(現奈良県五條市)の歴史的景観復元と、栄山寺文書の文書群復元とによる、栄山寺に関する総合的歴史研究である。本年度、前者に関しては、現地において水利などの調査を行う予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、長距離移動を伴う大人数での出張や、対面・接触での聞き取り調査が実施が困難であった。そのため現地調査を次年度以降に行うこととし、近代初期に作成された地籍図の所在確認や記録化に重点を置いて、景観復元研究を進めることとした。8月と9月に五條市役所の税務課において所蔵史料の調査を行った結果、旧栄山寺領にほぼ相当するエリアの明治期の地籍図や字限図の存在が確認できた。これを受けて、税務課および文化財課と相談の上で、2月に市立五條文化博物館にて全点の熟覧調査および専門業者による高精細デジタル写真撮影を行った。また、現地調査の一環として、10月および12月に、栄山寺において、境内に所在する古代・中世の金石文史料を調査し、このうち五輪塔を中心とする中世石造物については詳細な調査をおこなった。後者に関しては、10月・12月・3月に陽明文庫において、同文庫所蔵の栄山寺文書の近世写本を調査した。その結果、所在が確認された分について、3月に専門業者による高精細デジタル写真撮影を行った。このなかには、これまで紹介されていない近世の境内絵図も含まれている。また、10月には国立公文書館において明治初期に作成された栄山寺文書の写本を調査した。その他、栄山寺文書や関連史料の読解を進め、3月7日には早稲田大学戸山キャンパスにおいて栄山寺研究会を開催し、本年度の調査・研究成果および次年度以降の計画について共同研究者の間で共有をはかった。
【研究代表者】