生態学的シミュレーションによるビジネスモデルの進化プロセスの研究
【研究分野】経営学
【研究キーワード】
ビジネスモデル特許 / 技術移転 / 知的財産権 / ライセンス・ビジネス / 青色LED / 相当の対価 / シミュレーション / コミュニケーション競走モデル / マルチエージェント / リソース・ベース / 成果主義 / コミュニケーション競争モデル / ビジネスモデル / 技術移転プロセス / 大学発ベンチャー / NPO / コンテナ化 / アライアンス / アクセルロッド / リナックス / オープン・ソース戦略 / マーケティング・モデル / プラットフォーム / 超企業・組織
【研究成果の概要】
この研究計画では、ビジネスモデル(特許)と技術移転プロセスに関する制度と実態の調査から着手した。ビジネスモデル特許に関しては2000年から2001年にかけてブームがあったが、すぐに沈静化してしまった。その背景には、patenabilityとmarketability、すなわち特許になりうることとその特許で収入が入ることは別であるという特許ビジネスの実像を理解する必要がある。特許を取得するということは、まさに発明をビジネスとして扱うことであり、本当にビジネスとして考えるのであれば、特許に金を払ってくれるライセンシー候補を一生懸命探して、ロイヤルティー収入を見込めると判断した発明だけを特許にすべきである。しかし、ビジネスモデルの進化という視点から、もう少し視野を広げれば、こうした特許のライセンシングに限らず、技術移転にはさまざまなパターンが存在しており、この研究では、コミュニケーション競争モデルでシミュレーションを行い、検討を加えた。
また、「ライセンス・ビジネス」(あるいは「ライセンシング・ビジネス」)の観点も重要である。特許などの工業所有権に関しては、近年、知的財産権として関心が高まっている。しかし、残念ながら知的財産権の分野は法律家の世界であり、ビジネスの感覚に欠けているため、その議論には限界がある。たとえば、いわゆる「青色LED訴訟」の判決は、さまざまな議論を巻き起こしたが、それらの議論の多くは、特許法35条やその解釈に向けられてきた。この百家争鳴状態は、皮肉にも特許法35条に定める職務発明に対する相当の対価を、同条の法解釈から一義的に導き出すことが困難であることを物語っている。法律の解釈論では解決できない問題なのである。しかし、経営学的には、ライセンス・ビジネスの実態と照らして、実際の企業行動と市場取引の観点から総合的に判断する方法がある。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2001 - 2004
【配分額】3,800千円 (直接経費: 3,800千円)