筋萎縮とタンパク質分解系との連係-カルシウムシグナル伝達系とカテプシン群の関与-
【研究分野】体育学
【研究キーワード】
ラット / 筋萎縮 / カテプシン群活性 / 筋内カルノシン / 筋内アンセリン量 / 骨格筋の可塑性 / リソソーム / Hypokinesia / hypodynamia / 筋内カルノシン量 / Hypodynamia / 骨格筋 / タンパク質分解系 / カテプシン群 / 遊離アミノ酸 / セリンプロテアーゼ / 懸垂(suspension) / カルシウム
【研究成果の概要】
【目的】骨格筋の萎縮に伴ってlysosome由来のcathepsin群活性と遊離dipeptideレベルが如何に変動するかを明確にすること。【方法】約6週齢雄性ラットを身体(whole body suspension : WBS)法により10日間連続して後肢筋をhypokinesia(筋の力学的負荷の低下)/hypodynamia(筋活動の低下)[H/H]の状態に保持した(WBS群)。対照(CON)群はcage controlとした。H/Hが終了した翌日、各群ラットの体重、ストレス応答臓器(胸腺、副腎、脾臓)、遅筋(ヒラメ筋:SOL),速筋(ヒフク筋:GAS,足底筋、長指伸筋)の各重量を測定した。併せて、遅筋・SOLと速筋・GASの筋lysosome由来のcathepsin B, Jの活性および筋内遊離carnosine(CARN)とanserine(ANSN)の各濃度を測定した。【結果】(1)体重はWBS群がCON群の0.58倍であった。(2)ストレス応答臓器重量はWBS群がCON群より有意に高いもの(副腎:1.61倍)と逆に有意に低いもの(脾臓:0.61倍、胸腺:0.52倍)に分類された。(3)体重あたりの筋重量はWBS群がCON群より有意に高いもの(長指伸筋:1.29倍)、変化なし(GAS,足底筋)、有意に低いもの(SOL:0.67倍)に分類された。(4)WBS群のSOL内cathepsin BとJの活性はいずれもCON群の各活性値より2.3倍と有意に高かったが、WBS群のGAS内catbepsin BとJの活性はCON群との各活性値とほぼ同じであった。(5)WBS群のSOL内CARNとANSN量はCON群の各値のそれぞれ0.56および0.78倍と有意に低かったが、速筋のGAS内CARNとANSN量は両群間で差が見られなかった。【まとめ】ラット後肢筋をH/Hの状態にすると、筋のSOLで特異的に萎縮がみられ、それに伴いprotease活性が有意に高まり、筋内のdipeptide量が著明に低くなる。このことからH/Hによってラットの遅筋であるヒラメ筋を萎縮させると筋内タンパク質が分解を受け、dipeptide量が有意に減少する。これらの現象が速筋のヒフク筋ではみられないことから、H/Hによる代謝応答は速筋と遅筋で異なる。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
立屋敷 かおる | 上越教育大学 | 学校教育学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】1999 - 2001
【配分額】14,900千円 (直接経費: 14,900千円)