運動学習過程における連続失敗:その機能的意義の解明と操作
【研究キーワード】
身体運動 / 強化学習 / 探索 / 運動学習 / ばらつき / 学習 / 報酬予測
【研究成果の概要】
1. 運動中,課題に連続して失敗する現象が偶然以上の確率で生じることを,健常成人33名を対象とした行動実験にて確かめた.またその発生機序を,数理モデルを用いて強化学習における探索と利用によって説明できること示した。 一方で,連続失敗の発生が運動学習プロセスに及ぼす影響に関しては,明確な答えを得ることはできなかった.
2. 連続した運動課題の失敗は,運動を実施する環境因子を多様にすることで抑制できることを示した.具体的には,的当て課題を実施する際,常に1つの的を狙わせるのではなく,試行毎に異なる的を狙わせることで,連続失敗を抑制した.
【研究の社会的意義】
研究1の成果は,「同じ運動を繰り返す環境では失敗も成功も連続しやすい」ことを,研究2の成果は,「様々な運動を実施する環境では失敗も成功も連続しにくい」ことを示した.例えばこれをダーツの投擲動作に置き換えると,狙った位置に矢が飛んでいる限りは同じ的を狙い続ける方が成功しやすいが,狙った位置と違うところに矢が飛んだ次の投擲では異なる的を狙う方が連続失敗を回避できる可能性を示唆している.検証は必要だが,競技スポーツの現場に応用可能な知見が得られたと考えている.
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2020-04-01 - 2022-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)