薬物使用の交通事故への影響推定と事故予防の提案:司法解剖と事故データのリンク
【研究分野】応用健康科学
【研究キーワード】
交通事故 / 交通外傷 / 司法解剖 / 薬物 / 医薬品 / アルコール / 自転車 / 歩行者 / 質量分析
【研究成果の概要】
日本では、交通事故関与者に薬物検査を行う体系的仕組みがなく、薬物使用による交通事故発生への影響を検討するための基礎データが存在しない。本研究は、交通事故死者における薬物使用の実態を示し、薬物使用が事故発生に及ぼす影響を推定するとともに、警察、法医学等の専門家に交通事故予防対策を提案することを目的とする。
千葉県全域及び東京都の一部地域で発生した交通死亡事故で司法解剖が実施された事例につき、警察の交通事故統計データを突合させた後、検出薬物の種類等を分析する。2013年度から2021年度までの9年間の事例を分析対象とする。
研究初年度は、記録すべき解剖事例データ項目とその登録方法、データ管理方法を研究組織内で協議し決定した。これに基づき、薬物データ登録・分析用ソフトウェアを開発し、研究実施機関において各々倫理審査を申請し承認を得た。これを受けて、千葉大学で実施した4年分の司法解剖データを用いて、事例ごとの性差とデータのコーディングに着手した。
研究2年目は、司法解剖データのコーディングをほぼ完了させ、追加登録すべきデータを加えて4年分の司法解剖データの特徴分析を行った。また、このデータに対応する警察の交通事故統計データを抽出し、司法解剖データとの突合作業、司法解剖データと解剖未実施データの比較を行った。以上の成果を、国内の学会等で発表した。
研究3年目は、4年分のデータの分析結果を、国際会議で発表した。また、2018年度から千葉県内の司法解剖を一部分担している国際医療福祉大学を研究組織に加えるとともに、2017年度から2018年度までの2年分のデータ(千葉大学分)を追加収集した。
研究4年目は、7年分のデータを収集して結果の取りまとめに着手した。研究5年目には、研究組織内で研究の進め方を再検討した。研究会にて途中経過を発表するとともに、論文執筆に着手した。また、9年分のデータ収集に必要な手続きを行った。
【研究代表者】