インドシナ半島における古代国家の形成:ベトナム・チャーキュウ遺跡からのアプローチ
【研究分野】考古学
【研究キーワード】
考古学 / 地理学 / 建築史・意匠 / ベトナム / チャーキュウ遺跡 / オケオ遺跡
【研究成果の概要】
令和元年度には以下のような調査研究を実施した。
(1)2019年8月後半、研究代表者と研究分担者・久保純子がベトナム側共同研究機関(ベトナム南部社会科学院)とともに、ベトナム中部ズイスエン県チャーキュウ遺跡とその周辺で考古地理学的調査を実施した。遺跡周囲でハンドオーガーによる土壌堆積物調査を実施し、遺跡の南東であらたに発見された遺物包含地点を踏査した。さらに同県下のミーソン遺跡管理委員会の要請をもとに、トゥーボン川の橋脚建設現場で露出している砂の堆積層を精査した。続いて、研究代表者と研究分担者・鈴木朋美が南部アンザン省オケオ遺跡において考古地理学調査を実施した。ベトナム南部社会科学院考古学研究センターが発掘中のルンロン地点の現場に入り、古代運河の底と思われる地点でハンドオーガーによる土壌サンプリングを行った。放射性炭素年代測定に供することが可能なサンプルを採取することができた。
(2)上記調査を踏まえ、9月末に日本大学にて科研費研究成果発表会「ベトナム南部・オケオ遺跡をめぐる研究動向:「扶南外港」の実態解明を目指して」(第269回東南アジア考古学会例会)を開催した。研究代表者・分担者・協力者計4名が発表し、研究分担者・重枝豊が総括を行った。
(3)11月末から12月初頭にかけて、研究代表者とベトナム南部社会科学院のグエン・ホアン・バック・リン氏が瓦の3D計測を目的とした写真撮影を実施した。対象としたのはベトナム中部クァンナム省チャーキュウ遺跡出土瓦(チャーキュウ教会コレクションの資料)と、同じく中部ビンディン省タインチャ―遺跡出土の瓦(ビンディン省博物館所蔵資料)である。チャーキュウ遺跡とタインチャ―遺跡から酷似する人面紋をもつ軒丸瓦が出土していることから、両者を詳細に比較するためのデータ収集を行った。
【研究代表者】