大学院生を対象にしたリーダーシップ教育の効果検証
【研究キーワード】
リーダーシップ教育 / 支援型リーダーシップ / 高等教育 / 学修成果の可視化 / リーダーシップ / グループワーク / 大学院生 / アクティブラーニング
【研究成果の概要】
本研究では、支援型リーダーシップを扱う大学院修士課程における授業科目の効果を検証し、大学院でのリーダーシップ教育の効果を明らかにすることを目的としている。
令和2年度および3年度は、授業の開始時および終了時に質問紙調査を行い、効果検証のための尺度開発を行った。令和2年度は予備調査とし、令和3年度に項目改訂と本調査を実施した。質問紙調査から、リーダーシップのタイプとして「意見聴取型」「率先型」「支援型」「統率型」「マネジメント型」の5つの因子が抽出され、尺度構成を行った。本研究で対象とする授業では支援型リーダーシップに焦点を当てた教育を行っている。すべてのリーダーシップタイプにおいて授業後にリーダーシップ行動が増加する傾向が見られた。特に、「自分の行動や成果について、メンバーからの率直なフィードバックを求めるようにしている」「主体的に取り組まない人には注意する」「仲間のやる気を引き出す」「グループの学習の目的を明確にして,仲間と共有する」「グループ作業では、先頭に立って仲間を引っ張っていく」「全員が発言しやすい雰囲気づくりを心がける」等の項目で、授業に伴う増加が見られた。
基礎科目で高得点を修め、上級科目へと進んだ学生からは、基礎科目での授業開始前後、上級科目での授業開始前後の4時点のデータが得られている。「仲間のやる気を引き出す」「グループ内で意見が対立した時には、合意形成のために働きかける」といった項目で継続的な上昇が見られた。ただし、多くの項目では授業開始時点において既に高得点を示しており、天井効果が発生していた。上級科目の履修者に対しては、意識面だけでなく、育成目標になっている個々のスキルの修得状況も確認できる質問項目の追加が必要と考えられる。
【研究代表者】