多元的無知が環境配慮行動を阻害するプロセスの解明-国際比較調査・実験による検討
【研究キーワード】
環境コミュニケーション / 多元的無知 / 国際比較 / 社会規範 / ゲーミング / コミュニケーション / 環境配慮行動 / 国際比較調査
【研究成果の概要】
本研究では、複数の国においてオンライン調査を実施し、多元的無知が実際に環境コミュニケーションを取る意図に影響を及ぼしているのかを検討する。
2021年度は、そのための準備として、調査項目の検討を行い、日本において予備調査を実施した。オンライン調査における回答数は711、有効回答数は331であった。全国の20歳~69歳を対象とし、性別、年代が均等になるように割り付けた。
自身の省エネ問題に関する会話を従属変数とした階層的重回帰分析の結果、環境問題への関心が低い群では他者の会話行動の認知が最も大きな影響を及ぼしていた。一方、自身の環境問題への関心が高い群では、他者の会話行動の認知は有意な影響を及ぼさず、自身の会話意図が最も強い関連を持っていた。環境問題への関心が低い人に関しては、自身が環境問題に関心があるかどうかよりも、他者も環境問題に関する会話を行っているかどうかが会話行動のより重要な規定因となっていることが示唆された。
説得納得ゲームの長期的効果についてオンラインでも効果があるか確認するため、オンラインで実施した説得納得ゲームの効果検証を行った。参加者は108名であり、事前、事後、フォローアップの3回の調査にすべて回答した人数は53名であった。ZOOMのブレイクアウトルーム機能を用いて、3または4名が1グループとなるように設定した。その結果、省エネ行動意図,主観的規範、行動統制感、また環境問題についての会話意図、他者の会話意図の認知はゲーム後にゲーム前よりも高まり、1ヶ月後にもそのレベルが維持されていることが示された。ゲーム中に他者と省エネ行動について議論をすることによって、他者も省エネ問題について会話したいと思っていると認知が変化し、それによって自身の会話意図も高まったのではないかと考えられる。
【研究代表者】